レポート  ・クールビズ(COOL BIZ)   
− クールビズ(COOL BIZ) −

ノーネクタイ、ノー上着だと体感温度が2℃違うらしいです。すべての事業所などにおいて、夏の冷房の設定温度を26.2℃から 1.8℃上げて28℃にすると 、ひと夏で約160〜290万トンの二酸化炭素を削減できるそうです。
 
そこで、政府は、6月1日より、京都議定書の目標達成を目指す一環として、「夏の冷房を28℃に設定しても、職場で涼しく働くことのできる夏の軽装スタイル」の推奨を始めました。
 
ノーネクタイや軽装スタイルの導入のし易さ・し難さは、職種によってそれぞれでしょう。著者の職場でも、早速取り組むことになりましたが、Tシャツやポロシャツというわけにもいかず、ネクタイを外してYシャツの袖を捲(まく)り上げた姿が無難というのが実際のところです。来客や外出のときのために、ロッカーにはネクタイが準備してあります。
 
そして、受付には、わざわざ「夏の期間、ノーネクタイ・ノー上着運動により冷房の設定温度を上げる取り組みを実施していますので、何卒、ご来客の皆様方のご理解とご協力をお願い致します。」というお断りらしき案内が置いてあります。
 
服装は単に涼しければ良いというわけには行きません。昭和54年(1979年)、オイル・ショック後の省エネ対策の一環として、半袖スーツが提案され、時の総理大臣大平正芳氏が「省エネ・ルック」と称してアピールしました。省エネ・ルックは、その後も羽田孜元首相が着てトレードマークになりました。
 
しかし、この省エネ・ルックは、普段のスーツの袖を半分切り取っただけの、文字通り「省エネ」そのもののスタイルで、「格好が良くない」「おかしい、変だ」などと、あまり好意を持って国民に受け入れられず、流行の兆しがみえないまま市場から消え去ってしまいました。
 
半袖スーツにイメージが直結する「省エネ・ルック」や、「ノー」という否定的な言葉を含む「ノーネクタイ」や「ノー上着」という言い方は良くないということで、環境省は、夏の軽装の新名称を一般公募しました。約 3,200通の応募の中から選ばれたのが、『クールビズ(COOL BIZ)』でした。クールは「涼しい、かっこいい」、「ビズ」は「ビジネス」を意味しています。
 
涼しいだけではなく、ファッション性を重視した、お洒落で、礼節を保てるスタイルを提唱し、夏のビジネスマンのファッションを変えて行こうというのが「クールビズ」です。
 → http://www.env.go.jp/earth/info/coolbiz/
 
ネット検索してブログなどの書き込みを覗いてみると、「クールビズ」の理念は大方好意を持って受け入れられているようですが、実施になるとどうでしょうか。上着とネクタイが礼儀と考える人がまだまだ多く、ビジネスの場ではスーツが一番相応しいというのが、国際的なコンセンサスとして確立しています。
 
そのような中で、企業組織内において服装の多様性が認められるかどうかですが、何より問題なのが、軽装を見る側、受ける側がそれをどう捉(とら)えるかということではないでしょうか。特に大切なお客や目上の人を前にしての軽装は、相手側も同じ程度の軽装でないと憚(はばか)られて、かえって仕事もやりにくいということになります。
 
クールビズは、新たに増える衣料品購入によって、 1,000億円の経済効果をもたらすとも言われていて、ファッションショーを開くなど業界のホットな思惑が見え隠れしますが、ファッション開発競争の過熱、衣料品生産工場や小売店のフル稼働などによって、エネルギー消費が増えるという結果にはならないでしょうか? それでは、何のためのクールビズなのか分からなくなります。
 
おしゃれに特段の配慮をしなくても、とにかくスーツを着てネクタイを締めれば何とかなりまし、中年の親父族にとっては、贅肉も、弛(たる)んだ腹も何とか覆い隠してくれるので、スーツは便利です。クールビズになると、センスが問われ、着こなしにも配慮がいるでしょうからそうは行かないでしょう。体形も露呈することになり、服装もさることながら心身のシェイプアップが肝要となるでしょう。
 
そんなことを考えると、一朝一夕で首尾よく実現できるというわけにいきそうにない『クールビズ(COOL BIZ)』です。一過性の流行に終ることなく、一つの文化を育(はぐく)むぐらいのつもりで、息の長い取り組みとして運動が続けられて欲しいと思います。
 
【追記】
父の日を前に発表されたクールビズ。掻き入れ時を目前にして困惑したのがネクタイ業界でした。小泉総理から「ネクタイ業界は創意工夫して売れるように考えてもらいたい」という発言があったようです。そこで、ネット検索してみると、クールビズ対応のネクタイがいくつか考案されています。何とかしようという工夫の見られる作品ですが、普及するでしょうか?
 
◆ジッパーネクタイ
 → http://blog.livedoor.jp/nekutai1/archives/25300095.html
◆カラオケの流れるネクタイ「歌いタイ」というネクタイまで発売されています。
 → http://www.rakuten.co.jp/mimatsu21/799400/
 
◆おまけ〜こんなサイトがありました。
おもしろコスチューム
おそまつスーツ
前は普通のスーツ、後ろは省エネスーツ
パーティー・二次会で目立ちたい方に!  
 → http://www.rakuten.co.jp/goldstar/271641/291865/
     

2005.07.06  
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