コラム  ・Cats and Dogs 降れば土砂降り   
− Cats and Dogs 降れば土砂降り −
南九州は、梅雨入りして1ヶ月近くがほとんど空梅雨の状態で経過しています。熊本県球磨郡水上村にある市房ダムは、春、満開の桜の下で満水を湛え、噴水が勢い良く吹き上げるダム湖の景色で知られていますが、その市房ダムが空っぽに干上がっているというお便りなどを頂きます。
 
かと思うと、局所的な集中豪雨が突如やってきます。一昨日の夜から昨日(6月30日)にかけて、九州北部は、各地で激しい雨に見舞われ、熊本県南小国町では、24時間雨量が6月としては観測史上最高の 308ミリに達したそうです。最近の雨は、『降れば土砂降り』と思って用心せねばなりません。
 
『土砂降り』といえば、受験英語の一つに、『cats and dogs 』という慣用句がありました。例えば、
 
  It rained cats and dogs. 土砂降りの雨だった。
  It's raining cats and dogs tonight. It's thundering, too. 
              土砂降りの雨が降っている。雷鳴も聞こえる。
 
我が家でも、大粒の雨が瓦を叩き、はけ切らない雨水が雨どいを乗り越えて、それこそ『犬走り』に叩きつけられるように落ちてきます。そのような土砂降りの喧騒が、まるで猫と犬が喧嘩しているような騒がしさだというので、『cats and dogs 』だと教わった記憶があります。
 
しかし、その由来には、はっきりした定説がなく、犬猫喧嘩説以外に次のような説があるそうです。
 
(1)猫は雨を降らせ、犬は風を起こすという北欧の伝説に由来する。
 
(2)排水設備の乏しかった昔のロンドンで、大雨になると街路が汚物の川となって、多くの猫や犬の死体が流されたことに由来する。
 
(3)ギリシャ語で大雨を意味する単語の『Catadupe』、あるいはフランス語で滝、 瀑布を意味する単語の『Catadoup』などが転じたのではないかという説。
 
(4)ラテン語で『経験に反する』という意味の単語である『 cata doxas 』に由来するという説。 cata doxas は、”カタ ドクサス”と発音しますから、転じて cats and dogs となったというのです。
 
鹿児島の水害で忘れられないのが、『8・6水害』(はちろくすいがい)と呼ばれる1993年(平成5年)の豪雨水害です。1993年8月6日午後から鹿児島市を中心とした地域で、1時間あたり最大99.5mm(観測地点、鹿児島市郡山町)の強い雨が数時間降り続き、鹿児島市の雨量は一日で259mm に達したといわれます。鹿児島市内を中心として、死者48名、行方不明者1名の犠牲者が出ました。
 
鹿児島市中心部を流れる甲突川が増水し、江戸時代に架けられた甲突川五石橋のうち新上橋と武之橋が流失。鹿児島市北部の竜ヶ水地区では、約4kmの区間内に22カ所の土石流が発生し、国道10号で約1200台の車が動けなくなり、JR日豊本線では旅客列車が土石流に巻き込まれて大破、ほぼ陸の孤島状態となりました。
 
そんななかで、孤立状態になった住民と列車の乗客や車の運転者を含めた約2500人が、鹿児島湾上の漁船と桜島フェリーによって海上から救出されます。その救出の様子は後日、NHKプロジェクトX〜挑戦者たち〜に取り上げられたりしました。
 
この8・6水害の当日、鹿児島県内の郡部は、鹿児島市内中心からわずか50kmぐらいしか離れていないのに、そんな大水害が起きているとはとても想像できない晴れた好い天気でした。8・6水害は、それほど局所的な豪雨災害だったのです。まさしく、『経験に反した』水害でした。最近のゲリラ豪雨は、異常気象が影響しているといわれますが、cata doxas 的な豪雨水害が起こらないことを祈りたいものです。
 

2009.07.01  
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