レポート  ・自転車の話し   
− 自転車の話し −
自転車による移動は、生物の自分自身による移動および機械を使った移動の中で、突出してエネルギー効率の良い移動手段であり、人間が自転車を使って移動すれば、必要なエネルギーは徒歩の場合の5分の1ですむそうです。また、自転車で質量1kgの物体を1km移動させるのに必要なエネルギーは、おおよそ自動車の6分の1、ジャンボジェット機の4分の1程度しか必要ないと言われます。
  
このように、自転車は必要とするエネルギーが少なくてすむうえ、有毒な排出ガスが発生しません。また、整備が容易で維持費も安く、健康増進効果が期待できるなど、大気汚染や地球温暖化問題が叫ばれる中で、自転車は環境への負荷の少ない移動手段として有用な乗り物です。
  
自転車の利用が盛んなオランダやデンマークでは通勤利用者に対する購入時の金銭的補助があり、ドイツ、オランダ、サンフランシスコなどでは、鉄道車両などの公共交通機関に、折りたたんだり分解などをすることなくそのままの状態で自転車を持ち込むことができる場所が多くなっているそうです。
  
わが国の自転車普及率は世界的に見ても非常に高く、人口 1.5人あたり1台にのぼっており、西欧のなかでも特に自転車利用が多いオランダ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、スウェーデンに次ぐ水準です(以上、ウィキペディアを参考)。だれでも気軽に乗れる自転車ですが、自転車は道路交通法では『車両』と規定されているという認識はあまり持たれていないのではないでしょうか。
  
道路交通法65条第1項によると、”何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない”とあります。ここでいう車両等に自転車も含まれますから、酒に酔った状態で自転車を運転すると当然、酒酔い運転になり、5年以下の懲役又は 100万円以下の罰金が、酒気帯び運転の場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられることになりますし、万が一事故を起こし誰かをケガさせてしまうとその賠償責任も問われることになります。
  
自転車は『車両』ですから車道走行が原則ですが、従来それが定着せず、歩道での自転車と歩行者の事故が急増してきたため、平成19年(2007年)の道路交通法改正(平成20年6月1日から施行)で歩道を走れる条件が明確にされました。
  
それによりますと、(1)道路標識等で指定された場合、(2)運転者が13歳未満の子どもか70歳以上の高齢者あるいは身体の不自由な方の場合、(3)車道又は交通の状況からみてやむを得ない場合には、自転車も歩道を走れますが、自転車で歩行者をはねて死亡させたり重傷を負わせた場合、そこが歩道であった場合には、過失相殺を認めず自転車側に高額賠償を命じる判決が相次いでいるそうですから要注意です。
  
(注)過失相殺=歩行者側の過失の程度により車両側の責任を軽減すること。
  
たとえば、歩道で自転車を走行中に子供が急に飛び出してきて事故が起きた場合でも急に飛び出してきた子供の過失は考慮されないわけです。道路交通法で歩道上は自転車の走行が原則禁止され、通行できる場合でも歩行者の安全に注意する義務があるという新基準が提示されているようです。
  
また、自転車には守らなければならない安全ルールが決められています。二人乗りは禁止、違反者は2万円以下の罰金又は科料。『並進可』の標識のある場所以外では、並進禁止、違反者は2万円以下の罰金又は科料。夜間は前照灯及び尾灯(又は反射器材)をつけること。違反者は5万円以下の罰金。
 
傘を差しながら自転車を運転したら、5万円以下の罰金。当然、携帯電話やメールをしながら運転しても同様です。自転車の積載制限は、『幅は積載装置又は乗用装置の幅に 1.3メートルを加えたものを超えないこと、高さは2メートルを超えないこと』 となっていますから、もし傘を自転車に固定して運転すると積載制限違反で2万円以下の罰金又は科料となります。
 
警視庁のホームページには、次のような自転車での加害事故例が記載されています。
 
● 自転車通学中の高校生が誤って歩行者に衝突し、脊髄損傷の重傷を負わせた。【賠償金】6,008万円
● 女子高校生が夜間、携帯電話を操作しながら無灯火で走行中、看護師の女性と衝  突。女性には重大な障害が残った。
【賠償金】5,000万円
● 街灯のない線路際の道で、自転車で帰宅途中の高校生が電車に気を取られて歩行者に衝突。歩行者は死亡。【賠償金】3,912万円
 
万が一に備えて保険に入っておきたいですね。保険各社に自転車保険があって、掛け金の相場は、年間で2000円〜3000円程度のようです。また、自転車安全整備店で自転車の整備を受けると、車体にTSマークのシールを貼ってもらえます(手数料 500円〜1000円)。TSマークは、それが貼られた自転車自体に保険がかけられ、誰が乗車していても適合されるというものです。
  
【参考にしたサイト】
(1)ウィキペディア〜自転車
(2)自転車の交通安全 :警視庁
    

2010.09.29  
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