コラム  ・あたりめとアタリッパ   
− あたりめとアタリッパ −
イカ(烏賊)の内臓を取り除いて素干しや機械乾燥などで乾燥させたのをスルメといいます。日本では縁起物とされ、結納品などにも用いられ寿留女と表記されるほか、熨斗(のし)の飾りに使われたり、大相撲の土俵には縁起物としてスルメが埋められているそうです。
 
縁起物とする由来には、日持ちの良い食品であることから末永く幸せが続くという意味とする説、室町時代の頃からお金を『お足』といい、足の多いスルメは縁起が良いとする説などがあるようです。
 
先日、ちょとした飲み会で、スルメのことを何で『あたりめ』というのだろうというのが話題になりました。折角の縁起物なのに、スルメの『する』は、博打などでお金が無くなる意味の擦(する)るや、財布やお金を盗む意味の掏(す)るに通じ、縁起が悪いので、縁起の良い『当たり』に換えて、スルメのことを『あたりめ』と呼ぶようになったのだそうです。
 
落語に、師匠に『これからはスルといってはいけない』といわれ、すりこぎはあたり棒、すり鉦(かね)はあたり鉦というのがあります。また、ある落語家の弟子が、楽屋で、『師匠、スリッパはここです』と声をかけました。
 
すると、『ばかだね。おまえも芸人のはしくれなら、なんで『アタリッパ』って、いえねえんだ』といって、師匠に怒られます。『する』は、掏る(=芸が未熟でお客様からお金をぼったくる)という意味に通じることから、スリッパを『アタリッパ』と呼ぶことがあるというのですから、おもしろいです。
 
あたりめ(スルメ)
あたりめ(スルメ)
 

2015.12.13
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