レポート  ・天草陶石   
− 天草陶石 −
北から、大矢野島、上島、下島と主なる3つの島が橋でつながっている天草は、キリシタン文化が香りを残す島です。あちこちにキリシタン殉教の史跡が残り、大江や崎津の天主堂のある風景は異国情緒さえ漂わせています。
 
そして、天草五橋を渡って走るパールラインからの美しい景色、車から降りれば随所で堪能できる美味しい海の幸。加えて、天草の有名なものとして挙げられのが『天草陶石』(あまくさとうせき)です。天草下島の西海岸地域(天草町、苓北町)に産する粘土の鉱石は、陶磁器の原料になります。
 
古くは、江戸時代の17世紀後半に発見され、当初は砥石(といし)に使われていましたが、18世紀初期から陶磁器の原料としても使われるようになりました。高浜(天草市天草町高浜)の上田家六代上田伝五右衛門は、陶工山道喜右衛門を肥前から招き、村民に窯業を習得させ、1762年に高浜焼を開窯しました。
 
天草陶石を使った高浜焼は、質が良かったため、長崎奉行に目を留められ、オランダ向けの輸出品を中心に焼かれました。江戸期を代表する才人・平賀源内は、1771年に時の天草郡代に提出した建白書『陶器工夫書』に、天草陶石は『天下無双の上品』と書き記したといわれます。
 
1903年(明治36年)、天草陶石は白磁の原料として優れていることがわかり、日本陶器合名会社(後のノリタケカンパニーリミテドやTOTO)の設立に寄与しました。現在でも国内最高品質の白磁原料として知られ、有田焼、伊万里焼(佐賀県)、三川内(みかわうち)焼(長崎県)、京焼・清水焼(京都府)、瀬戸焼(愛知県)など、高級磁器の原料として、実に国内の7割を占めています。
 
『天草陶石』鉱床は、石英粗面岩が熱水作用により『陶石化』したもので、単味で磁器化する特徴があり、品位は鉄分の含有量により特等、一等、二等、三等、四等に分けられているそうです。用途としては、高級陶磁器の原料が主で、その他に超高圧碍子(がいし)、高圧碍子、衛生陶器、タイルなどにも使用されています。
 
下記の旅行記が参考になります。
 旅行記 ・高浜焼を訪ねて − 熊本県天草市
  


2012.10.17  
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