レポート | ・白秋・素秋・金秋 |
白秋・素秋・金秋
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白秋(はくしゅう)、素秋(そしゅう)、金秋(きんしゅう)という季語があります。いずれも、五行説(ごぎょうせつ)という、古代中国に端を発する自然哲学の思想に由来する言葉で、秋の異名に過ぎないのですが、イメージに色彩を与え、句に微妙な味わいが加わります。 手を浸しゐる白秋の水明り 櫛原希伊 白秋の風に午睡の夫寧し 植村よし子 白秋や硝子に揺らぐ人の影 柿沼盟子 歌舞伎座へ素秋の風を道連れに 橋本良子 隣人といふ遠きもの素秋かな 水野恒彦 どの遺書も母上様とある素秋 栗山恵子 金秋や家族の数の傘を干し 中島たまな 金秋や天草灘の藍より黒 松崎鉄之介 金秋の笛たかぶらす離島便 淵脇護 五行説によれば、万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるとされ、樹木が発育し生長する春には「木」を、灼熱の夏には「火」を、土中に光りWく鉱物や金属は収獲の季節の秋を象徴することから、秋には「金」を割り当てました。 泉から涌き出て流れる水は命の泉と考え、胎内と霊性を兼ね備える性質を表すことから、冬には「水」を割り当てました。そして、残った土は季節の変わり目に割り当てて、これを土用と呼びました。すなわち、この五行説から、「金秋」という言葉が生まれたわけです。 また、五行説では五行に対応する色として、木に青(緑)、火に紅(赤)、土に黄色、金に白、水に玄(黒)を割り当てました。そこから、青春、朱夏、白秋、玄冬といった言葉が生まれました。北原白秋の雅号は秋の白秋にちなんだものです。また、素秋の「素」は白の意で、白秋と同じ意味になります。 |
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2021.08.25 | ||||
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