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【気ままに雑考マガジン】           第1081号 04月24日(水)(2024年)
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〔本号の目次〕
【01】涙橋                    〔コラム〕
【02】編集後記
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■□■【コラム】■□■
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- 涙橋 -
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東京には、荒川区と品川区に一ヶ所ずつ計二ヶ所に、なみだ橋(泪橋あるいは涙橋)
という橋があったそうである。それぞれの橋の近くには、磔、火焙り、獄門が行われ
た処刑場があり、処刑場に行くにはこれらの橋を渡らねばならなかった。

これらのなみだ橋は、罪人にとってはこの世の見おさめの場であると同時に、家族や
身内の者にとっては処刑される者との今生の別れの場であり、互いがこの橋の上で涙
を流したことから、この名がつけられたという。

   春雨の車窓をつたふ涙橋 有村聖子

この句は、鹿児島市にお住いの有村さんが俳句雑誌「火の島」(2024年4月号)に投
句した作品だから、詠まれている「涙橋」は、鹿児島市街地の南(鹿児島市郡元)に
ある市電(路面電車)の涙橋電停のところにかかっている橋のことである。

春雨がまるで涙のように市電の車窓をつたっているという春の愁いを「涙橋」という
実存の橋名を織り交ぜて唄っている句であるが、この「涙橋」もまた処刑場と関わり
のある橋なのであろうか?

この橋は、市電が走る県道と並行する旧谷山街道が、新川を渡るところに架かってい
て、橋のたもとのマンション前に「涙橋血戦の碑」という大きな石碑が建てられてい
る。案内板に以下のようにある。

~ 旧谷山街道と新川が交わるこの地の下流にかかっている橋は、江戸時代、橋の先
の処刑場に向かう罪人と家族が、この橋のたもとで最後の別れをしたことから、涙橋
と呼ばれるようになった。

この碑は、明治10年(1877年)の西南の役で戦死した枕崎出身の90名の薩軍兵士を供
養するため、昭和2年(1927年)に建てられた。熊本で敗れた薩軍の一部が鹿児島に
たどり着いた時、鹿児島は殆ど官軍に占領されていた。

涙橋近くの高地では、枕崎出身の今給黎久清以下 213名の兵士が武之橋方面からと脇
田方面から迫る官軍に応戦、旧式の兵器や弾薬の不足にもかかわらず奮戦し、戦いは
6時間にも及んだという。結局、平田新左衛門ら90名の戦死者を出し、柴原方面に退
却したと伝えられている。 ~

鹿児島市内のこの涙橋もやはり処刑場へ向かう橋であった。加えて、西南の役で戦死
者の血が流された橋であった。


☆★☆〔編集後記〕★☆★
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◆皆さま、こんにちは。いつもご愛読頂きありがとうございます。きのうの4月23日
は語呂合わせで「シジミの日」でした。島根県松江市の有限会社日本シジミ研究所が
、食品として優れ、水質浄化にも役立つシジミの有用性をアピールするために制定し
たのだそうです。2006年に日本記念日協会によって記念日に登録されました。俳句で
も蜆(しじみ)は春の季語です。

  からからと鍋に蜆をうつしけり 松根東洋城
  水替へてひと日蜆を飼うごとし 大石悦子
  蜆舟少しかたぶき戻りけり   安住 敦

皆さま、どうか、時節柄、御自愛の上お過ごし下さい。       (WaShimo)
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