俳句  ・ワシモ(WaShimo)の気ままに俳句   



(10月)

浴室にばった逃してやりにけり

遠来の客に弾くる鳳仙花

落し水やがて輪廻の雲になる

食ひ掛けの林檎錆びゆく農繁期

此処よりはトカラ列島星月夜

(9月)

鬼灯を吊るす牛舎や安産日

山鍬を胡弓にかへて風の盆

目覚むれば米研ぐ音や涼新た

新涼や砂利踏む朝の五十鈴川

人影のとぼしき村の紅芙蓉

雄軍鶏の鋭き爪や鳳仙花

だれやめの喉越しのごと落し水

どの向きも冬瓜の顔土間の黙

鶏頭や待ったの声のへぼ将棋

縁日の殿で焼く蜀黍屋

(8月)

あぜ道の轍の渇き雲の峰

一品は竹林の風夏料理

友来る四時から飲みの冷奴

轟音の機影北行きバナナ園

炎昼や流刑の地めく石切場

(7月)

餡蜜を掬ふ休日白き雨

親子して胡坐の座席鰻丼屋

開け放つ部屋に白南風置手紙

新品の竹ざるに盛る夏料理

遠雷や手に仕掛りの裁ちばさみ

(6月)

鯉のぼり屋根に投げたる子の抜け歯

ホーローの錆びし看板麦の秋

潮騒の風ごと包む袋掛

蜑路地の軒をかはしてゆく日傘

県境の茅花流しの停車駅

(5月)
        
麗らかや子と覗きゐる万華鏡
 
寡黙なる父の晩酌目刺添ふ
 
再会や桜蘂降る木の驛舎
 
田の神の紙垂新しく花の冷え
 
たらの芽といふ忘れもの終電車
         
(4月)
                    
書き掛けの便箋で折る男雛
 
ミモザ咲く土曜の午後のカレー店
 
霾風に座す千年の磨崖仏
 
隧道の出口入口やま椿
 
薬袋の蝌蚪の紐めく退院日
             
(3月)
             
豆まきや炉ばたの猫の深ねむり
           
節分会土鈴いただく当りくじ
         
門前の閑ある屋台梅三分
         
冴え返る御堂の床の昼灯
         
藩政の切石疏水つくし出づ
        
(2月)
        
落日の東シナ海朱欒の実
        
復興の宙を自在に肥後の独楽
         
初夢は湯葉を頂く二年坂
         
雑炊の膳に乗り来る計算書
         
風呂焚きのひょっとことなり女正月
         
(1月)
                    
石垣のぬくもり日和冬いちご
       
一角に子らの賑ひ暮の市
 
しぐるるや客の絶えたる五家荘
 
二日目の鰤大根と古女房
       
銀ぶらや屋台ですする薩摩汁
             


 
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