さすらい地蔵 |
JR遠野駅から車で1〜2分走った消防署の横に白幡神社という小さな神社があります。その境内に置かれた『さすらい地蔵』は『女地蔵』で、昔若い男たちの力自慢に使われたお地蔵さまだそうです。かつがれては町のいろんな所に投げ捨て置かれたのでその名がつきました。ある時は繁華街に捨てられ、またある時は小道や草むらに捨てられていたので、ある人が『罰当たりなことだ』と思って元の場所に戻してあげたところ、『若者たちとせっかく楽しく遊んでいるのに、余計なことを!』と逆に気に触れたそうです。今は右写真のように、コンクリートで台石に固着されています。 |
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馬っこつなぎ |
またこの日(6月1日)には、馬子繋(うまこつな)ぎという行事がある。昔は馬の形を二つ藁(わら)で作って、その口のところに粢(しとぎ)を食わせ、早朝に川戸の側の樹の枝、水田の水口、産土(うぶすな)の社などへ、それぞれ送って行ったものだという。今では藁で作る代わりに、半紙を横に六つに切って、それに版木で馬の形を二つ押して、これに粢を食わせてやはり同じような場所に送って行く(『遠野物語拾遺』298話)。
馬っこつなぎの二頭の馬は、一頭が神馬として、田の神様が乗る馬で、もう一頭は食糧を運ぶ馬として、作柄の見回りや遠い国で開かれる神様の集まりへのお伴をする馬だといわれています(2)。。 |
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サムトの婆(ばあ) |
松崎村の寒戸(さむと)という所の民家で、若い娘が梨の樹の下に草履を置いたまま行方不明になりました。それから30年後のある日、親類知人がその家に集まっているところに、一人の極めて老いた老婆が訪ねてきました。どうして帰ってきたかとたずねると、人々に逢いたかったからだといいます。そして、また行かねばならないといい再び姿を消しました。その日は風が烈(はげ)しく吹く日だったので、遠野の人々は、風の騒がしい日は、”きょうはサムトの婆が帰って来そうな日”だというようになりました(『遠野物語』8話)。この話は本当にあった話だともいいます。 |
さすらい地蔵(白幡神社)(写真上) |
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五日市のキツネの関所 |
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『遠野物語』にも狐(キツネ)が何度も登場します。『五日市のキツネの関所』は、JR遠野駅から車で6〜7分走った国道340号線沿いにあります。碑が立っていて説明があります。
町場にくる村人の楽しみは茶屋酒を飲みながら、ほら話を吹きまくることでした。帰り道、かかさまへの土産の五十集(いさば=塩魚や干魚)を首にかけ、夜更けにこの辺りを通ると、美しい女が『風呂に入って酒っこあがんせ』と微笑みながら誘いかけ・・・・夜が明けるとわが身は泥田や肥溜めにつかり、土産はとうに消えているのでした。 |
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国道340号線沿いにある『キツネの関所』の碑(写真上) |
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