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 旅行記 ・三江線、さよなら! − 島根県〜広島県 2018.03
 さんこうせん
三江線
冠雪の三瓶山と三江線
薄っすら冠雪を残す三瓶山(さんべさん)と二両編成の三江線(さんこうせん)。三江線は、この3月末をもって廃止になります。三瓶山は島根県のほぼ中央部にそびえる標高1,126mの火山(活火山ランクC)です。3月21日から24日までの3泊4日の『三江線を撮る旅』の撮り納めとなった思い出の写真。この一枚を撮るのに2時間半待ちました。 
雨の三江線
信木駅へ近づく列車
三江線を撮る旅 『雨の三江線』、歌謡曲の題名のようなタイトルですね(笑)。3月21日春分の日の祝日、鹿児島県の川内駅を午前8時過ぎに発車した新幹線は広島駅に11時前に着きます。駅前でレンタカーを借りて、中国自動車道経由で三次(みよし)に着いたのが午後2時。小降りだった雨がだんだん大降りになってきます。
信木駅に停車中の列車
国道375号から信木駅を見通せるところに来た頃、三次駅を出発した江津行きが通りかかるので、三江線撮影の初ショットになりました。三江線が廃止になるのを知ったのは一年前。以来、撮りに行きたいと思っていました。『撮り鉄』の心得えはまったくないものの、石州瓦の綺麗な家並みを背景に列車が走る風景に魅せられたのでした。
香淀駅〜作木口駅
三江線の地への訪問は初めてで、地理にも、増してや撮影ポイントにもまったく無案内の上、三江線を走る列車の便数も限られていることから、3泊4日の旅程を決め込みました。出かける10日前の予約でしたが、江の川カヌー公園さくぎコテージ『いろり庵』という公共の施設が空いていたのはラッキーでした。
作木口駅〜江平駅
すぐ西は島根県で、部屋からの眺め自体が『三江線ビュー』の便利なロケーションで、自在に撮りに出かけられたのです。二間あるコテージの部屋の一つは囲炉裏のあるキッチンでしたが、一人旅だったので、夕食と朝食は、車で片道20分走ってコンビニから買込んできました。
江平駅〜口羽駅 
石見神楽と三江線 石見神楽(いわみかぐら)は、島根県西部(石見地方)と広島県北西部(安芸地方北部)において伝統芸能として受け継がれている神楽の様式のひとつで、日本神話などを題材とし、演劇の要素を持ちます。石見地方において、室町時代後期には既に演じられていたと言われます。
口羽駅にて
田楽系の神楽である大元神楽をルーツとし出雲流神楽・能・狂言・歌舞伎などが影響を与えて演劇性を増し、現在の石見神楽が形成されたとされています。その後広島県北西部へと伝わり、各々の地方において独自の変化を遂げました。その際、石見神楽は江の川(ごうのかわ)に沿って島根から広島に伝播したといわれています。
口羽駅を江津方面へ出発した『三江線神楽号』
すなわち、神楽が島根から広島に伝播したルートは、奇しくも三江線のルートと重なっていたのです。そんな由来から、三江線活性化協議会では、各駅に『神楽愛称駅板』を設置しました。そして、三江線では、2014年9月より『神楽』をテーマにラッピングが施された『三江線神楽号』が走って活躍しました。
江平駅〜作木口駅 
 
 早朝の江平駅
江平駅
宿泊している江の川カヌー公園のコテージから車で5〜6分の距離にある江平駅(ごうひらえき)。江津駅を朝の5時35分に発車した、江津発三次行きの始発便が江平駅に着くのは午前8時30分というので江平駅まで出かけてみました。インターネットで調べてみると、この駅の一日の平均乗車人員は1名/日ということです。
江平駅
従って、乗降客のいる風景は望むべくもないなと思っていたところ、一人の女学生の影が。一台の軽乗用がやってきて駅の前で止まっているので、お母さんか誰かが送ってきたのでしょう。一両編成でトコトコ走るのが通常の三江線でしたが、この便は三両編成で走っています。
江平駅を三次方面へ出発した3両編成 
三江線が廃止されるのが決まって以降、鉄道ファンらが殺到したため、3月17日のダイヤ改正で廃止までの15日間は便数が上下1本ずつ増便され、江津発三次行きの始発が3両編成、他は2両編成で運行されたのです。ですから一両編成でトコトコ走る本来の三江線の風景は、残念ながらもはや撮れなかったのです。
三次方面へ消えて行きます
三江線沿線はまだ梅の満開を待つ時季で、桜の開花は4月に入ってからになりそうです。三江線沿いには桜並木や桜のトンネルが多く、桜の風景も名物の一つだったでしょうが、桜満開の三江線の風景はもう撮れそうにありません。江平駅に植わっている桜も蕾をを膨らませているでしょうが、どこか寂し気に映ります。
静寂の戻った江平駅
 りくこうもん
陸閘門
井原川橋梁を渡る列車
この3月31日をもって廃線となる三江線ですが、陸閘門(りくこうもん)という三江線名物を知りました。上の写真は井原川にかかる橋梁を列車が渡る風景ですが、よく見ると、堤防の一部を切り欠いて鉄橋が掛けられています。この状態で洪水になるとどうなるでしょうか。
井原川橋梁へ差し掛かる列車
陸閘門は、鉄橋が掛かった堤防部に開閉可能な門扉を設けた施設で、江の川沿いを走る三江線には計8カ所あります。通常は開いた状態で列車を通し、洪水時には扉を閉めて川の水が線路から住宅地などへ流出するのを防ぐ仕組みになっています。梅雨などの出水期が近づくと、三江線では陸閘門の開閉操作訓練が行われきました。
陸閘門(井原川橋梁)
天空の駅
(宇津井駅)
ライトアップされた宇津井駅(うづいえき)
1975年(昭和50年)8月、 三江線は浜原駅〜口羽駅間が延伸されました。それにともない、島根県邑南(おおなん)町『宇津井』(うづい)のこの場所に駅を建設することが決定したものの、山間を縫って走る線路の線形上、当該部分の線路は高架にするしかなく、地上に駅を設置することができませんでした。
宇津井駅を江津方面へ出発する列車
そこで、当時の国鉄は、数十戸の住民のために高さ約20メートルの鉄橋の上に駅をつくりました。エレベーターやエスカレーター等の昇降機設備が設置されていないためホームに上がるには 116段の階段を歩いて上がります。階段を上りきったところにホームと待合室があります。
宇津井駅の入口
116段の階段を歩いて20メートル上がる高さは6〜7階のビルに相当し、特にお年寄りや幼児にはきつい高さですが、その特異な駅の構造から『天空の駅』という異名をもらっています。待合室まで上がってみると、待合室は綺麗な状態に保たれていて、窓越しに、端正に立ち並んだ石州瓦の家並みが見えます。
116段の階段を登ります。
2010年から『INAKAイルミ』というイベントが行われるようになり、LED照明を使ってライトアップされました。2018年には、最後の年越しを迎えたイルミネーションが、NHKの番組『ゆく年くる年』で放送されました。そして、3月18日(日)から営業を終了する3月31日(土)までイルミネーションが再開されました。
待合室からの風景
 三江線の風景
因原駅を江津方面へ出発した列車
三江線(さんこうせん) 三江線は、島根県江津市の江津駅から広島県三次市の三次駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(地方交通線)で、2018年3月末をもって全線が廃止されました。JR発足後(国鉄時代を含めて)、路線距離が100kmを超える鉄道路線の全線廃止は本州では三江線が初めてとなりました。陰陽連絡路線としての機能を果たせるものではなかったという指摘があります。
井原川橋梁を渡り終えた列車
中国地方きっての大河川で古くから水運交通に利用されていた江の川(ごうのかわ)に沿い、江津駅〜三次駅間を結ぶ陰陽連絡路線として1930年代から長い期間をかけて建設されましたが、全通はきわめて遅い1975年(昭和50年)で、すでに地域間移動は道路利用主体に移行していました。
乙原駅〜簗瀬駅
三江線は浜原ダムを回避する沢谷駅付近をのぞくと、北方が頂点となる「へ」の字状に流れる江の川に沿って狭い平地を縫うように建設されたため、大きく迂回するルートとなり、直線距離なら60km足らずである江津駅と三次駅間を全長108km走る路線となりました。
高善寺を通過する列車(都賀駅〜宇津井駅)
そのため、両都市間の短絡路としては機能せず、また拠点都市間ルートとしても、島根県東部の主要都市である出雲市・松江方面、西部の主要都市である浜田方面と、広島県との連絡にはいずれも迂回路となってしまい、陰陽連絡路線としての機能を果たせるものではなかったという指摘があります。以上、『三江線 - Wikipedia』より。
粕淵駅を三次方面へ出発した列車 
 第3江川橋梁
第3江川橋梁
江の川(ごうのかわ)に掛かる第3江川橋梁(写真上)と第2江川橋梁(写真下)。通常は第2江川橋梁のように、列車はトラス(形鋼を三角形に組んだ鉄骨構造物)の中を通りますが、第3江川橋梁ではトラスの上を走っています。これは、第3江川橋梁が、鉄道と人道の併用橋で、トラスの中は人が歩いて通る構造になっているからです。
第2江川橋梁

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