♪Prologue
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オキナグサを訪ねて〜鹿児島県菱刈町
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赤とも黒とも紫ともつかぬ不思議な色合いのビロードのような絹毛の花が、どこか貴婦人の雰囲気を漂わせながら春風に揺れています。オキナグサ(翁草)は確かに、野原に咲いていたら採取して持って帰りたくなるような魅力ある野草です。かつては、本州・四国・九州の田んぼのあぜ道などの身近なところで見られた野生の花でしたが、開発による自生地の減少や園芸目的の採取によって絶滅危惧の植物に数えられようになり、幻の花などと言われています。鹿児島県の北部に位置する菱刈(ひしかり)町の柳野一誠さん(77)は、オキナグサを復活させようと26年前に自宅周辺に植え始め、今、田んぼのあぜ道や土手のあちこちに咲くオキナグサは千株を数えるまでになりました。今年は寒波の襲来が多く例年より開花が遅れたようです。4月に入ってやっと本格的な春の陽気が感じられるようになった日にオキナグサを訪ねました。                                                    (旅した日 2005年04月)


オキナグサ(翁草)
オキナグサ(学名 Pulsatilla cernua)
キンポウゲ科オキナグサ属の多年草。本州、四国、九州に分布。花期は4月から5月。

自生のものは絶滅の危機にある。絶滅危惧II類(VU)        
貴婦人の絹毛揺るるや翁草 ワシモ
鐘形の花は、はじめは下向きにうつむいて咲き、徐々に上向きになっていきます。真上に向くようになると花の命は終わりとなります。ガク片は6枚で、内側は暗紫色で、外側は白毛に覆われています。天気の日には花を開きますが、天気が悪いと開きが中途半端です。花のあとの実が羽毛に覆われて老人の白髪に似ていることから、オキナグサ(翁草)という名がつきました。
オキナグサを見に行ってから数日後、昼間の気温が25℃を越え夏日の陽気です。鹿児島では「コッカゼ」と言う東風(こち)が午前中吹いて、予想通り午後から雨になりそうです。少しでも雑草抜きをと思って庭先に出ると、「オキナグサの里」から買って帰って植えておいたオキナグサが翁(おきな)になっています。
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