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旅行記 ・旧増田家住宅 − 鹿児島県薩摩川内市  2014.01.26
旧増田家住宅
(入来麓武家屋敷群)
旧増田家住宅(2つの棟が直交しています)
入来麓武家屋敷群 入来(いりき)は県の北薩摩地域、現在の薩摩川内市の内陸側の丘陵地帯に位置しており、ここの麓(ふもと)集落は、かつての武家屋敷が建ち並び地区で、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。旧増田家住宅はその一画にあります。
屋敷への入口(中央に石敢当が見えます)
旧増田家住宅 旧増田家住宅は、明治2年(1869年)の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)で廃寺になった延命院の跡地の一部に建てられたと思われ、敷地入口には、明治6年の石敢当(せっかんとう、石敢當などの文字が刻まれた魔よけの石標)が据えられていることから、母屋(おもや)はその頃の建築と推定されます。
明治六年の刻銘がある石敢当(せっかんとう)
敷地には、母屋のほかに、石蔵と浴室便所、洗い場が建てられています。旧増田家住宅は、薩摩地方の武家住宅である別棟型民家としての特徴を有しており、入来麓で唯一、棟を直交させていることや縁を切って玄関を設けていることなど古い形式が残されています。
玄関へは折れ曲がったアプローチになっています。
平成22年度(2010年度)からの3ヶ年かけて実施された保存修理工事では、母屋に当初は茅葺(かやぶき)屋根であったことを示す痕跡が確認されたたため、修理前の瓦葺(かわらぶき)から茅葺に復原されました。なお、今回の保存修理工事では、石蔵の一階に残る大正七年四月竣工の刻銘などから、敷地内にすべての建物が揃う大正七年から大正十二年までを復原整備年としています。
母屋(屋敷入口から最短のところに玄関があります)
母屋(おもや) 薩摩藩の武家住宅は、おもてとなかえから構成されています。おもては、接客空間として使用され、玄関・つぎのま、ざしき、うちざなどと呼ばれる部屋に加え、寝室に使われるなんどで構成されます。なかえは、食堂兼居間として使う部屋と調理などをする土間から構成されています。
二棟の間に設けられた樋(とい)
おもてとなかえでは、まず、外部の相違として、床と棟がおもての方が必ず高くなっています。これは、武家社会における接客空間として、主人が使用する建物として格式を重んじたことが背景にあると考えられます。内部の相違として、まずおもては天井を張り、トコやタナ等の座敷構えがあります。
なかえに母屋への入口があります
また、おもては長押(なげし)や釘隠し等の装飾が施される一方で、なかえは、天井を張りません。なお、長押は、柱と柱を横につなぐ水平材のことで、本来は構造的な意味合いが強かったですが、中世以降はもっぱら装飾的な部材になりました。釘隠しは、柱や長押に打ちつけた大きい釘の頭を隠すための化粧金具のことです。
母屋庇(ひさし)から石蔵方向を見る
これらの2つの棟からなる建物は、別棟型民家(べっとうがたみんか)と呼ばれており、おもてとなかえのずれた場所に玄関が設けられています。旧増田家住宅においては、基本的には同じ様式によって建築されていますが、玄関の位置が異なっており、敷地入口から最短となるおもての縁側を切った場所に設けています。また、おもてとなかえがずれることなく、かつ、なかえがおもでからはみ出ない例は、他の麓を見ても見当たりません。
     
屋敷配置と母屋間取り
おもて
うちざから見るつぎのまとざしき(左手)
おもては、主人が生活する空間で、接客など客人を迎える場所でもありました。南と東が縁側を介して庭に面し、開放的な雰囲気の空間になっています。旧増田家は、代々眼科を営んでおり、ざしきで診察を行っていたそうです。うちざは、おもてにおける居間で、居室としての形態が反映されており、いろりや戸棚、屋根裏の物置など生活にかかわる装置が見られます。
おもて縁から見る石蔵(後方に入来小学校)
 なかえ
なかえの屋根裏
保存修理工事の概要 今回の保存修理工事は、3年間という年月と1億5千万円余りの費用をかけて行われました。雨天の場合でも工事ができるように、素屋根と呼ばれる屋根を持った全天候型の足場が建設されました。かやぶき作業は熊本県阿蘇地方のものを使用し、3〜4ヵ月を費やして行われました。使用できる部材は、継ぎ木や埋め木などといった工法で再加工し再利用されました。
いろり。おもてとの間に『樋の間』が見えます。
樋(て)の間 おもてとなかえの二棟が接近し、接近した2つの屋根の庇(ひさし)の間に樋(とい)を渡し、その下に板張りの間を設けています。おもてとなかえの両方の部屋をつなぐこの板の間を『樋(て)の間』と呼びます。『樋の間二つ家』とも呼ばれこの型の家は、川内川(せんだいがわ)流域から旧姶良郡一帯に見られました。
土間から見たなかえ(その向こうがおもて)
【DATA】
 入来麓武家屋敷群 旧増田家住宅
 開館時間=9時〜17時(ただし、入館は16時30分まで)
 休館日=月曜日(ただし、月曜日が休日の場合は火曜日)
 入館料=無料
 お問合先=0996(44)4111
文化財消防演習
備え付けの放水銃による演習
1月26日は、文化財保護法制定の契機となった法隆寺金堂壁画が焼損した日(1949年(昭和24年))にあたります。1955年(昭和30年)にこの日を『文化財防火デー』と定め、貴重な文化財を火災・震災その他の災害から守るために、全国的に文化財防火運動が展開されています。
茅葺屋根が水を吸い込みます
薩摩川内市においても毎年、消防局と関係機関が協力して市内の文化財をへの消防演習が実施されています。今年(2014年(平成26年))は、1月26日(日)10:00〜11:00、旧増田家住宅において文化財防火デーに伴う消防演習訓練が実施されました。
消防隊員による放水演習
 玉石垣の武家屋敷群   春、入来麓の風景
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