旅行記　フォロ・ロマーノ

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旅行記　フォロ･ロマーノ－イタリア（14）　2014.07

フォロ･ロマーノ

パラティーノの丘から北西を眺めたフォロ・ロマーノの遠望

フォロ・ロマーノ（Foro Romano）　フォロ・ロマーノは、ローマ帝政期に造られた円形闘技場・コロッセオ（Colosseo）の西隣りに、東西約300m、南北約100mに渡って存在する古代ローマの中心部『フォルム・ロマヌム』の遺跡です。古代ローマでは、たいていの都市に政治・宗教の中心としてフォルム（英語のフォーラムの語源）と呼ばれる広場が置かれていました。

マクセンティウスのバシリカ（左）とサンタ・フランチェスカ・ロマーナ聖堂（右）

このフォロ・ロマーノは首都に開設された最初のフォルムであり、最も重要な存在でした。ローマでは、後に諸皇帝によっていくつかのフォルムが建設されたが、３基のバシリカ（公会堂）と元老院議事堂を備えたフォロ・ロマーノは、そのなかでも中心的存在として機能し続けました。

アントニヌスとファウスティーナの神殿

しかし、西暦395年ローマ帝国が東西に分裂し、首都機能がラヴェンナに移されると異民族の略奪に曝されるようになり、西ローマ帝国滅亡後は打ち捨てられ、土砂の下に埋もれてしまいました。19世紀からフォロ・ロマーノの発掘はが本格的に行われるようになりました。遺構は様々な時代のものが混在していますが、大部分が帝政時代以降のものだそうです^（1）。

ウェヌスとローマ神殿

コロッセオから見たウェヌスとローマ神殿

ウェヌスとローマ神殿　フォロ・ロマーノの東端、コロッセオの近くにあり、女神ウェヌス・フェリクス（好意的なウェヌス）と女神ローマ（永遠なるローマ）が祭られている。ローマ皇帝ハドリアヌスが設計し、建設は121年に始まり、ハドリアヌスにより公式に公開されたのが135年、アントニヌス・ピウスにより最終的に完成したのが141年です。

ウェヌスとローマ神殿

307年の火災で損傷したが、マクセンティウス帝が設計を変更して修復しました９世紀初頭の大地震で、再び神殿が損傷を受け、850年ごろ、教皇レオ４世が神殿の廃墟に新たな教会サンタ・マリア・ノヴァ教会の建設を命じましたた。この教会は、1612年に大修復されサンタ・フランチェスカ・ロマーナ教会（写真下）となりました。

マクセンティウスのバシリカ（中央）とサンタ・フランチェスカ・ロマーナ聖堂（中央右）

ティトゥスの凱旋門

東の方（コロッセオの方）から見たティトゥスのの凱旋門

ティトゥスの凱旋門　古代ローマ時代の凱旋門で、西暦82年、ローマ帝国第11代皇帝ドミティアヌスが、先代皇帝でドミティアヌスの兄でもあるティトゥスのエルサレム攻囲戦等での戦功を称えるため建てたもので、16世紀以降に建てられることとなる凱旋門のスタイルの手本とされました。その中には有名なパリのエトワール凱旋門などがあります^(2）。。

西の方から見上げたティトゥスの凱旋門

パラティーノの丘

パラティーノの丘のファルネジアーニ庭園のテラス

パラティーノ（Palatino）　パラティーノ（パラティーノの丘）は、ローマの七丘のうちの一つで、最も古い歴史を持つといわれます。丘といっても標高50メートルほどの丘陵地で、円形闘技場コロッセオからフォロ・ロマーノへの東側入口であるティトゥスの凱旋門を潜ってすぐ左手（南側）にあります。

ドムス・フラヴィアへ上る道中の糸杉木立ち

パラティーノの丘は、かつて、ローマの建国神話に登場する王政ローマ建国の英雄であるロムルスとレムスが住んだとされ、その後貴族の邸宅が建てられ、のちに初代皇帝アウグストゥスを筆頭に歴代の皇帝の宮殿が建てられたため、イタリア語や英語で宮殿（Palazzo、Palace）を意味する語の語源となっています。

ドムス・フラヴィア

パラティーノの丘の入り口にあるのが、きれいに手入れされたファルネーゼ庭園です。古代ローマの遺構ではなく、16世紀にトスカーナ出身のアレッサンドロ・ファルネーゼ枢機卿が廃墟の上に贅を尽くして作らせた庭園です。高台になっているこの庭園のテラスから北および北西にフォロ・ロマーノの全景を眺めることができます。

ドムス・フラヴィア

パラティーノの丘を上がっていくと、丘の中央部分を占めるのが『ドムス・フラヴィア』です。ドムス・フラヴィアは、ローマ帝国の第11代皇帝のドミティアヌス（在位81年～96年）は皇帝に就くと、パラティーノの丘のほぼ半分を使って大邸宅を造らせ公邸として用いました。フラヴィウス家の出だったことからドミティアヌスの宮廷はドムス・フラヴィアと呼ばれています。

ドムス・フラヴィア

ドミティアヌス帝以降も皇帝たちによって皇宮として使用されました。中央には八角形の噴水のある中庭があって、いまその基盤を見ることができます。ドムス・フラヴィアは皇帝が公務を行うパブリックスペースとして建てられたもので、私邸のほうはドムス・アウグスターナと呼ばれ、すぐ東に隣接しています。

廃墟から垣間見るサンタ・フランチェスカ・ロマーナ聖堂

パラティーノの丘から下りて戻ってきました。今は廃墟となった古代ローマ時代の煉瓦積みの瓦礫から垣間見るのは真新しい外観のサンタ・フランチェスカ・ロマーナ教会（写真上）。そして、東の方を見ると左手に、今登ってきたパラティーノの丘とファルネーゼ庭園のテラスが見えます（写真下）。

ファルネジアーニ庭園のテラスが上に見えます。

フォロ・ロマーノ中心部への東の入口であれるティトゥスの凱旋門から東を見ると、３つのアーチのセプティミウス・セウェルス帝の凱旋門（紀元203年の建物）を中心に、中央に右手手前のアントニウス帝とファウスティーナの神殿左手にカストルとポルックス神殿の３本の円柱などが見えます（写真下)。

ティトゥスの凱旋門から東を眺めたフォロ・ロマーノの風景。

アントニヌスとファウスティーナの神殿

アントニヌス・ピウスとファウスティナ神殿

アントニヌス・ピウスとファウスティナ神殿　アントニヌス・ピウス帝（86～161年）が皇后ファウスティナを偲び、141年に建造させたもの。アントニヌス・ピウスが死去した後、後継のマルクス・アウレリウス・アントニヌス帝によりアントニヌス・ピウスと大ファウスティナを祀る神殿とされました。凝灰岩で造られた高床の上に建てられており、建物に刻まれた碑文には（元老院から、神君アントニヌスとファウスティナに捧ぐ）と書かれていました。ポルティコを支えるコリント式円柱は高さが17mあり、コーニスのフリーズにはグリフォン（鷲あるいは鷹の翼と上半身、ライオンの下半身をもつ伝説上の生物）と枝付き燭台の浮彫がされていました^（3）。

ヴェスタの巫女の家

ヴェスタ神殿（右）。左はカストルとポルックス神殿。

ヴェスタ神殿はローマの古い信仰である炉とかまどの女神ヴェスタを祭った神殿（写真上）。ヴェスタの巫女の家はその内部に灯る『聖なる火』を守る巫女（みこ）たちが住んだ住居跡（写真下）。巫女たちは高い地位が保証されていましたが、30年の任期間は純潔を保つことが義務付けられ、違反すると生埋めに処せられることになっていました。

ヴェスタの巫女の家の中庭に並ぶ巫女の像群

クーリア・ユリア（元老院議事堂）

クーリア（中央建物）とエミリアのバシリカ（中央の細長い区画）

クーリア（元老院）は、古代ローマの統治機関。演壇があり、元老院の意思決定が行われていた政治の中枢部の場所した。建物は近年になって再建され、比較的新しい外観を呈しています。エミリアのバシリカは古代ローマ時代の公会堂（バジリカ）の一つで、現在遺跡になっていのは紀元前34年に建てられたもので、建物の大きさは100m×30mだったそうです。税の取り立てや裁判が行われていました。

エミリアのバシリカ。左にクーリア（元老院）が見えます。

カストルとポルックス神殿

カストルとポルックス神殿全景

カストルとポルックス神殿　紀元前495年、レギッルス湖畔の戦いの勝利への感謝を込めて建設された神殿。ローマの伝説では、カストールとポリュデウケース（ディオスクーロイ）が騎兵となって勝利に導いたとされ、ローマの独裁官・ポストゥミウスはニ人が馬に水を飲ませていたフォロ・ロマーノにディオスクローイの神殿を建設するように命じたと伝わっています。

カストルとポルックス神殿の３本の円柱。右端にセヴェルスの凱旋門が見えます。

【参考サイト】
（１）フォロ・ロマーノ - Wikipedia
（２）ティトゥスの凱旋門 - Wikipedia
（３）アントニヌス・ピウスとファウスティナ神殿 - Wikipedia

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