レポート  有限要素法解析で見る材料力学(5)   


         図1 モデルの形状と寸法および境界条件
 

          図2 段部R=3.5mmのときの、せん断応力の分布
 

        図3 段部R=0.75mmのときの、せん断応力の分布
〔段付き丸軸のねじりにおける応力集中〕

 段付き軸やキー溝のある軸、あるいは穴明き平板のように、断面が急に変化する部分を切欠き部という。この部分には、他の部分より大きな応力が生じる、いわゆる応力集中が起きる。この部分に生じる最大応力と、最小断面における応力、すなわち公称応力との比を応力集中係数または形状係数という。
 

 丸軸にねじりトルクを加えてねじると、丸軸にはねじり応力(せん断応力)が発生する。段付きの丸軸がねじりを受けると段部に応力集中が起きる。段部R(段部のコーナー半径)が小さいほど、応力集中の度合いは大きい。 
 
 図1に示すような段付き軸部品に偶力を加えた場合の応力分布を有限要素法で解析し、段部Rの違いによる応力集中の度合いを比較した。図2、図3は、段部R=3.5mm及びR=0.75mmの場合のせん断応力(ねじり応力)分布を示す。せん断応力の胴部平均応力値は、R=3.5mm、R=0.75mmとも、約40Mpaであるが、段部におけるせん断応力の最大値は、R=3.5mmで50Mpa(応力集中係数1.25)、R=0.75mmで76Mpa(応力集中係数1.9)である。すなわち、
段部Rの大きさが小さいほど応力集中の度合い(応力集中係数)が大きくなる。
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