レポート  ・スペインの食事   
 
− スペインの食事 −
旅行の楽しみの一つに、泊まったホテルや旅館で楽しむバイキング朝食があります。今回(2011年7月7日〜13日)の8泊のスペイン旅行(但し、2泊は機内泊)の朝食で特徴的だと感じたのは、野菜サラダやポテトサラダなどのサラダ類とスープが全く出されなかったということでした。
  
バレンシアからグラナダあたりまでオレンジ畑が延々と続き、グラナダから首都マドリード近郊までは今度はオリーブ畑が延々と続く風景を目にすると、スペインでは野菜が豊富に生産されていないのではないだろうかと思われ、そのせいで、サラダ類が出されないに違いないと思われてきます。しかし、旅行に出る直前の6月、スペイン産きゅうりの大腸菌汚染問題が報道されていましたので、野菜はどこかで栽培はされてはいるはずです。
  
スープは一回だけ、昼食に出されましたが、スペインの夏の名物とされるガスパチョ(野菜の冷製スープ)でした。スペイン南部のアンダルシア地方は、地中海性気候のため降雨が冬に集中し、夏はアフリカ大陸からの熱風で気温が上昇し空気が乾燥します。そうした気候条件の中で、熱いスープをすする習慣がないのかも知れません。
 
スペインの夏の名物ガスパチョ(野菜の冷製スープ)
 
スペインのバレンシアといえば、有名なのがオレンジ(但し、”バレンシアオレンジ”は品種名で、スペインの原産というわけではないようです)。バレンシアの中央市場は、オレンジはもちろん、スイカ、もも、ぶどう、チェリー、メロン、バナナ、キューイなどいろいろな果物で色鮮やかでした。スペインは果物が豊富です。ですから、デザートはもっぱら果物。朝食のバイキングにサラダ、スープは出なかったけど、果物が豊富で美味しかったのは嬉しかったです。
 
豊富な果物が色鮮やかなバレンシアの中央市場
 
毎回決って出されたのが、ハムやベーコン、サラミなどでした。日本では普通、ハムやベーコンにはケチャップをつけて食べますが、スペインでは通常ケチャップは準備されていないようです(お願いすれば無料で出してくれます)。スペインのハム類はとても塩辛く味付けしてあります。ですから、ケチャップは必要ないということなのでしょう。塩辛い味付けは、おそらく熱中症対策を考えてのことでしょう。
  
パンに塗るバター、マーガリン、ジャムも準備されていないホテルが多いようなので、使いたいときはお願いして出してもらいます。スペインは、世界一のオリーブ生産国です(2002年の統計では、スペイン30.8%、イタリア19.5%、ギリシャ14.3%)。従って、パンはオリーブオイルを塗って食べるのが一般的なようです。
 
毎回決って出されるのが、ハムやベーコン類 (スペインと豚肉)
 
スペインの名物料理であるパエリアとタパス料理を食べました。パエリアは、専用の鍋(平底の浅くて丸いフライパン)で調理する米料理で、米をたっぷりの具とともに炒め、黄色の着色料としてサフラン(香辛料)を加えて炊き上げたものです。汁気を残さず、鍋の底におこげが出来るぐらいにパリパリに焼き上げられます。ちなみに、ヨーロッパではイタリアとスペインで米が栽培されています。
   
パエリアは、元々はバレンシア地方の料理で、パエリアはバレンシア語でフライパンを意味していました。バレンシア地方以外にこの調理器具を用いた料理法が伝わるうちに、料理の名称としてスペイン全体に浸透していったのだそうです。バルセロナのシーフードレストランでランチに頂いたパエリアは、えびや貝類が入っていて美味しかったです。
 
 パエリア(バルセロナのシーフードレストランで、約20人分)
 
一方、セビリアで夕食に頂いたのが、タパス料理でした。タパスという料理があるのではなく、いろいろな惣菜(オードブル、つまみ)が順次出てくる食事のスタイルをそういいます(12種類ぐらい出てきたと思います)。ワインを飲みながら食べますが、パンも付いていました。
 
タパスはいろいろな惣菜が順次出てくる食事形態
 
さて、スペインでは、下記のように一日に5回食事をとることで有名です。食事を取る時間帯も日本とは異なっています。
 
(1)デサユノ(朝食)
  起きがけに摂る食事。パンなどを食べます。
(2)メリエンダ・メディア・マニャーナ(朝の軽食)
  午前11時頃、サンドイッチ、タパスなどを食べます。
(3)アルムエルソ(昼食)
  一日のメインの食事。
  午後2時頃から1時間以上かけてフルコースを食べます。
(4)メリエンダ(夕方の軽食)
  午後6時頃、タパス、おやつなどを食べます。
(5)セナ(夕食)
  午後9時以降、スープ、サラダなどを食べます。
 
旅行した7月は、日没が午後9時半頃で(4月〜10月は、1時間のサマータイムが実施されています)、その頃から夕食をとるわけですから、就寝時刻が真夜中を過ぎてしまうということになります。朝は早朝に起床しますから昼眠たくなるというので、スペインには、シエスタと呼ばれる昼寝を取る生活習慣がありますから、一日の生活パターンは、日本とは違ったものになっています。朝のバイキングに、スープ、サラダが出ないのは、夕食に取る習慣からそうなっているのかも知れません。
 
尚、このレポートは、実質6日間のツアー旅行で、バルセロナ、バレンシア、グラナダ、セビリア、コルドバ、トレド、マドリードを回った経験に基づいて書きました。従って、内容については普遍性のない部分もあるかも知れません。ご了承下さい。

  2011.08.17 
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