レポート  ・冬の彼岸花   
− 冬の彼岸花 −
本HPの管理者の自宅に隣接して20坪ほどの遊休地があります。宅地になるでもなし、畑にするでもない、もっぱら雑草がのびのびと生活する場になっている遊休地ですが、9月の中旬頃になると毎年たくさんの彼岸花が白い花を咲かせてきました。
  
その遊休地へ工事用の重機が入るというので、珍しい白の彼岸花ということもあって、一株一株掘り起こして畑の脇に移植してやりました。移植するといっても、この時季の彼岸花の姿ってご存知でしょうか。
  
毎年9月中旬の彼岸の頃になると、田圃の畦や川の土手などにあの真っ赤な、燃えるような花を咲かせる彼岸花の姿は多くの人が知っていても、この真冬の時季の彼岸花の姿を知っている人は少ないかも知れません。
  
彼岸花は9月に入ると地上に芽を出し、スルスルと花茎(花を支える茎)が伸び、わずか10日ほどの間に50cmぐらいの高さになりますが、『はなしぐさ』(葉無し草)などと呼ばれるように、いくら注意深く観察しても葉が見当たりません。ですから、やがて花が枯れ、用のなくなった花茎が朽ち果ててしまうと、何の跡形も残しませんから、花を咲かせているあの姿以外に彼岸花の姿をイメージ仕様もありませんね。
  
彼岸花に葉がないとすれば、あんなにスルスルと活きよいよく花茎を伸ばすだけの養分をどうやって作り、球根(正確には鱗茎)に蓄えているのでしょうか。実は、葉が無いということではなく、花が咲く時期に葉を付けず、葉を付けた時期には花が咲かないということなのです。
  
彼岸花は、他の花が葉を枯らし休眠に入る晩秋の頃から葉をつけ始め、真冬の頃になると緑の葉をふさふさと付け、太陽光をたっぷり独り占めにして、せっせと光合成をしてデンプンを作り、地下の球根にたんまりため込むのです。それでは冬の彼岸花の姿をご覧下さい。
  
・冬の彼岸花〜移植の様子〜を見る →
 http://washimo-web.jp/Information/WinterHiganbana/index.htm

  
『彼岸花の花は葉を見ず、葉は花を知らない』といわれ、あるいは葉は親であるのに、花の時期に葉がないのは『捨て子』であるなどといわれているようですが、彼岸花は一年を、養分を作って蓄積する季節(晩秋から春)、休眠する季節(春から夏)、養分を消費して花を咲かせる季節に、きっちり分けた生活スタイルを送っているのです。
  
それが、あの燃え立つような真っ赤な花を咲かせるための、一年をかけた彼岸花の戦略なのです。知られもしない地味な葉の時期に比べ、花の時期はなんて印象的で艶やかなことでしょうか。移植した彼岸花は白色のものですが、無事に根を張り、秋の彼岸頃には豪華な花を咲かせてくれることでしょうか。そう期待したいです。
 

2010.01.20  
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