レポート  ・韓国車事情   
− 韓国車事情 −
車が混んだ都会の風景は日本国内でずいぶん見慣れていますが、韓国ソウル市内の片側4〜6車線もある広い道路や高速道路を車が洪水のように流れ、あるいは停滞する様子には目を見張るものがあります。
 
というのも、日本国内だと排気量1000〜1300ccのコンパクトカーや軽自動車、あるいは SUV車があったりして、走っている車は千差万別ですが、ソウル市内を走っている車は、2500cc〜2800cc以上はあるだろうと思われる大きなセダンの高級車ばかりなのです。それも黒塗りの車が目につきます。
 
今から20数年前、釜山(プサン)の北方約50kmにある工業都市・蔚山(ウルサン)に出張で3ヶ月滞在した1980年代の頃走っていたのは、三菱自動車のエンジンを搭載したボロボロの現代(ヒュンダイ)『ポニー』ばかりで、よる遅くまでクラクションの音を撒き散らしていたものでした。今思うと、隔世の感があります。最近は韓国でも、車のクラクションの音を聞くことなどほとんどなくなっています。
 
韓国ではガソリンの値段が日本よりもずっと高いそうです。そのこともあって、最近コンパクトカーが販売されているようですが、大きな車がステイタスシンボルということのようで、日本のように低燃費・環境配慮型の車が志向され出しているという雰囲気にはどうもまだなさそうです。
 
もう一つ特徴的なことは、日本車をほとんど見かけないということです。台湾やシンガポールをはじめとして、東南アジアはほとどが日本車ですし、米国や欧州でも日本車は相当多いですから、韓国はおそらく世界で一番日本車の走っていない国だといっても過言ではないでしょう。
 
これは、1999年まで韓国政府が国産メーカー保護のために輸入車に高額の関税をかけていたことによりますが、最近は、ベンツやBMW、アウディとともにレクサスなどの輸入車に人気が出てきているようで、ソウル市内でちらほら見かけました。トヨタ自動車は、2009年後半から、韓国市場にハイブリッド車『プリウス』などトヨタブランドの乗用車計3モデルを投入する計画だそうです
 
交通ルールにも独特のものがあります。韓国では車が右側通行で、車の流れを滞らせないようソウル市中心部では多くの交差点が左折禁止になっています。左折禁止の交差点ではいったん右折して数百メートル進みます。そうすると大体Uターン場所が設けられているので、そこでUターンして引き返します。そのかわり、交差点で右折したい場合には、信号に関係なく常時右折することが出来ます。赤信号だからと思って止まっていると、後ろからクラクションを鳴らされることになります。
 
公共交通の利用を優先するという狙いで、韓国の一般道路と高速道路にはバス専用道路(レーン)があって、渋滞しているときでもバスは比較的スムースに通行できます。このバス専用レーンは、監視員や自動取り締まりカメラでチェックされていて、適用時間中は、すいているからといってバス専用レーンに入って見つかると罰金を取られることになります。
 
ソウルは、市内にある南山という山から北を北のソウル、南を南のソウルと呼ぶそうですが、ソウル市内を南北に分ける南山トンネルは渋滞が激しい時間帯は、車を二人乗りで通行すると料金を取らないけど、一人乗りで通行するとかなり割高な通行料を請求されるということですから面白いですね。渋滞緩和政策の一つです。
 
韓国のタクシーには、中型で料金が手頃な一般タクシーと、車のグレードも一般タクシーと比べて上級のものを使用して、運転手のレベルも高く運転マナーが上々といわれる模範タクシーの2つがあります。模範タクシーは、文字通り他のタクシーの模範となるタクシーということでしょう、黒い車体に金色のライン、天井に付いた黄色のランプが目印で、料金は一般タクシーの2倍程度だそうです。
 
韓国のタクシーといえば、忘れられないのが、相乗りタクシーのことです。20数年前、初めて蔚山を出張で訪れたとき、繁華街に出てホテルへ帰る際にタクシーを使いました。タクシーの後部座席に座っていると、路上の若い女性が手を上げてそのタクシーを止めます。運転手が後部座席に座っている私に”よろしいか?”と声をかけます。
 
わけが分からぬまま私が『ええー』と曖昧な返事をすると、その女性が早速タクシーに乗り込んできて助手席に座り込んだのにはびっくりしました。その女性は、私の行き先であるホテルの少し手前でタクシーを降りました。降りる際に相応の料金を払ったのです。これがいわゆる韓国の”相乗りタクシー”でした。この一見合理的とも思われる相乗りタクシーも今は禁止されているそうです。、
 

2009.10.21  
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