レポート  ・リベート(販売報奨金)   
− リベート(販売報奨金) −

リベート(rebate)という言葉を辞典で引いてみると、(1)支払い代金の一部を手数料・謝礼などの名目で支払者に戻すこと、また、その金。(2)一定の行為に対する報奨として受け取る金銭。とあります。− goo 辞典(三省堂・大辞林)より−


小売業が所定の売上げ目標を達成したとき、メーカーから小売業に「謝恩」の意味を込めて、お金が支払われる商慣行があるようです。このお金をリベート(販売報奨金、あるいは仕入れ割戻金)と言います。


例えば、ビールを売る小売業者(酒屋やスーパーなど)は、所定の売り上げ目標を達成すれば、ビールメーカーからリベートがもらえることを念頭において、安売りをしたりして、販売量を増やすことなどを行っているようです。


本メールマガジンの第88号(2005年4月6日発信)の「サービスの原点」と題する雑感で、ダイエーで、中央集権体制が足かせになって店舗独自のサービスが提供できていない例として、東京の仕入本部が商品を一括大量仕入れして全国の店舗に配送するシステムであるため、地元の新鮮な野菜を店頭に並べられないと書きました。


一括大量仕入れが弊害になっているのであれば、やめれば良いのに、なぜそうできないのだろと不思議に思っていたのですが、ダイエーの『リベート依存体質』のことを知って驚きました。


ダイエーは、売れ行きに関係なく決算対策用としてメーカーに不透明なリベートを要求し、営業力が弱体化する悪循環に陥っていたというのです。まだ売り上げがたってない翌期、あるいは翌々期のリベートまで求める前借りが常態化していたそうです。


高木邦夫ダイエー前社長は、2001年度に、不透明なリベートの削減方針を打ち出しましたが、不透明と言えど、リベート削減は利益減少に直結するため、そう簡単ではなかったそうです。次期会長兼最高経営責任者(CEO)に就任する林文子氏(58)も、引き続き、不透明なリベート撤廃を改革の方針にあげているようです。


不透明なリベートが常態化しているのであれば、仕入先や仕入れ方式を簡単に変更するわけにはいかないでしょう。ダイエーでは、顧客がどういう商品を望んでいるかでなく、仕入れた商品有きで、各店舗はそれを売りさばくことに役割があったわけです。


納入業者の側からすると、リベートを支払分コスト高となります。そのため、人気のない安い在庫品を高い値で納入してリベートに支払ったお金を回収しよとするでしょう。かくして、ダイエーの売り場から魅力ある人気商品が消え、そのため売り上げが落ちる。そうすると、また決算対策用にリベートを前借りせざるを得ないという悪循環に陥ることになります。


高木前社長のもとでの改革が功を奏した店舗もあるようです。東大和店(東京都東大和市立野)は、「金は出してやれないけど、何をやってもよい」という高木前社長の指示で、24時間営業と平日の主婦にターゲットを絞った取り組みを行い、八王子店は、1km圏内の家庭の冷蔵庫を狙って、野菜と肉・魚の生鮮食料品に特化した店づくりに取り組んで、それぞれ売り上げを伸ばしたそうです。


ダイエーは長年、親しんできたスーパーです。店もアクセスし易いところに立地しています。経営再建が成功して、消費者の痒(かゆ)いところに手の届くスーパーになって欲しいと思います。


【備考】このレポートは、下記を参考にして書きました。
◆TBSテレビ『サンデーモーニング』(2005年4月10日(日)10:00〜放送)
− 新生ダイエー150日の苦闘と希望 −
◆NIKKEI NET BizPlus( → http://bizplus.nikkei.co.jp/ )
連載企画 第13回「デフレに屈する前に体質強化に挑むダイエーのリベート削減」


2005.04.27  
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