コラム  ・おねこ 〜 オキナグサ(翁草)   
− おねこ 〜 オキナグサ(翁草) −
とある街の郊外を車で走っていると、連れ合いが『すごい! 庭いっぱいにおねこが・・・』と叫びます。たくさん猫を飼っているんだと思いきや、庭いっぱいにオキナグサが植わっていた、というのです。
 
『おねこ』とはオキナグサの別名だといいます。初耳で、半信半疑。帰宅して調べてみると、なるほど万葉集に『ねつこ草』を詠んだ歌があります。
 
  芝付きの 美宇良埼なる ねつこ草
       相見ずあらば 我恋ひめやも (作者不詳)
 
芝付きの三浦埼に生えている、ねつこ草のような可憐なあの娘に逢うことがなかったら、どうしてこんなに恋い悩むことがあったろうか。『寝つ娘』で、共に寝たあの娘の可愛かったことよ、などと解釈してしまいますが、『ねつこ草』はオキナグサのことだというのが最も有力な説らしいです。
 
というのは、花の後の実が羽毛に覆われて老人の白髪に似ていることからオキナグサといわれますが、古くから『ねこ(猫)』『おねこ(お猫)』『ねこぐさ(猫草)』『ねこばな(猫花)』などの方言名があるからだとあります。かつて草地に多く自生していたオキナグサですが、今は絶滅危惧種です。
 
わが家の庭にも小振りですが、数株が花を咲かせています。何も求めない、清純な心、告げられぬ恋、背徳の恋などの花言葉をもらっているようです。 
 
オキナグサ
オキナグサ
オキナグサ
(写真はいずれも2016.03.24鹿児島県さつま町の自宅で撮影)

2016.03.29
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