レポート  ・ワンセグ   
− ワンセグ −
『ワンセグ』をネット検索してみると、実に 700 〜 900 万件が表示されますから、いかに話題になっている言葉であるかがわかります。ご承知の通り、『ワンセグ』とは、日本において携帯電話などの移動体(モバイル)向け地上デジタルテレビジョン放送のことです。
 
2008年までに実施される地上デジタル放送と同じ番組を、移動体向けに放送するよう法律で決まっていますから、通常のテレビ(固定受信機)と同じ放送を携帯電話などでみれるわけです。
 
すでに発売されているポータブルテレビとワンセグがどう違うかというと、ワンセグには次の3つの利点があります。
 
(1)デジタル放送なのでノイズに強い。
(2)動画映像だけでなく、電子番組表などの文字データも
   同時に受信できる。
(3)放送者と視聴者間の双方向通信が可能でクイズやアン
   ケート等に参加できる。
 
今やワンセグ対応の機器は携帯電話にとどまらず、ワンセグ対応のDVDプレーヤー、電子辞書、ミュージックプレイヤーなどが商品化されており、巨大マーケット商品としてワンセグに熱い視線が注がれています。
 
さて、移動体向け地上デジタルテレビジョン放送のことをなぜ『ワンセグ』と呼ぶのでしょうか?  実はワンセグは略称で、正式名称は『携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス』というとても長いものです。
 
つまり、1セグメント(One Segment)の部分だけをピックアップして『ワンセグ』と呼んでいるのです。ここで、Segment は、分節、区分、部分という意味の英単語ですから、『ワンセグ』とは、たとえば『1区分』ということになります。
 
日本の地上デジタル放送方式では、1つのチャンネルの放送波を下図に示すように、13のセグメントに分割し、これをいくつか束ねて映像やデータ、音声などを送信します。
 
移動体向けテレビジョン放送が法律で義務付けられたので、13のセグメントのうちの1セグメントを移動体向け放送にあて、残りの12セグメントで固定受信機(テレビ)向け放送をするようになったので、『ワンセグ』と呼ばれるようになりました。
 
 

     図1 放送波のセグメントと『ワンセグ』の意味
 
使用するセグメントの数が多いほど、データ通信の速度が速くなり、セグメントの数が少ないほど、データ通信の速度は遅くなります。
 
したがって、大容量・高画質の映像を送信するハイビジョン放送では、高速度のデータ通信が必要ですから、12セグメントを使って放送します。通常画面の放送は、ハイビジョン放送ほどの速度を必要としないので4セグメントを使います。したがって、通常画面放送では、1つのチャンネルで異なる3つの番組を同時に放送することができます。
 
これに対して移動体向け放送、すなわち『ワンセグ』では、 320×240 画素の低い解像度で映像を送信するので、1セグメントの低速度ですむわけです。
 
例えば、運送会社一社につき13台のトラックが割り当てられて物流がおこなわれる場合を考えれば、わかりやすいかも知れません。『移動体向け放送』という荷物は、小口の荷物なので、常に1台のトラック(1セグメント)で運ぶようにし、『ハイビジョン放送』という大口の荷物は、残り12台のトラック(12セグメント)をフル稼働して運び、あるいは『通常画面放送』という中程度の荷物ならば、1件の荷物(1つの番組)を4台(4セグメント)で運ぶというわけです。
 
ほとんどの人がワンセグ対応の携帯電話を持ち歩く時代がもうすぐやってきますが、さて、あなたはどのように活用なさるでしょうか。
 

2007.07.18
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