コラム | ・みさご鮨 |
− みさご鮨 −
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『みざご鮨』あるいは『みさご寿司』でネット検索(Google)すると、4万7千を超えるページが検索されますから、この名を屋号に持つ寿司屋さんが全国に少なからず点在することがわかります。 『猿酒』という秋の季語があります。『ましら酒』とも呼ばれ、味がたいへんに甘美で猟師や木こりなどが探し求めて飲んだといわれる伝説の酒です。日本では飛騨などの山中で猟師たちがこれをみつけたという話が伝えられています。 合本俳句歳時記(角川書店)に、『猿が木の実を蓄えていた樹木の空洞や岩の窪みに雨や露が溜まり、自然に発酵して酒となったもの。霊薬との口碑がある。事実はともかく、深山らしい風情があっておもしろい。』と解説があります。 また、マタタビ科マタタビ属の植物に『サルナシ(猿梨)』という、果実の味がキウィフルーツに似たつる植物がありますが、サルがこの果実を猿酒にしたとされることからそう名づけらました。 さて、この『猿酒』に類似した伝説から生まれたのが『みざご鮨』で、すしのルーツだという伝説があるそうです。みさご鮨やみさご寿司の『ミサゴ(鶚)』は鳥の名前です。ミサゴは、タカと同じ種ですが属する科が少し異なります。 肉食性で主に魚類を食べることから『魚鷹(うおたか)』の異名があります。空中でホバリングし、高空から眼下の水中にいる魚を見定め、一気に急降下し水中に飛び込んで魚を捕らえます。 ミサゴは捕らえた魚を貯蔵し、漁が出来ない際にそれを食すという習性があって、その貯蔵された魚が自然発酵することにより『鶚鮨(ミサゴ鮨)』になると伝えられています。 ミサゴ鮨については、江戸後期の本草学研究書である『本草綱目啓蒙』のほか、『甲子夜話(松浦静山)』や『椿説弓張月(曲亭馬琴)』、『味(秋山徳蔵)』などに登場しているそうです。 ミサゴが貯蔵した魚が自然醗酵し、酢漬けのような状態になって旨味が増したものを人間が見つけて食したのが寿司の起源であるというわけです。そのため『みさご鮨』の屋号を持つ寿司屋は全国に少なからず点在するのです。 ・ミサゴ(鶚)の写真をみる ⇒ |
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2017.11.14 | ||||
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