レポート  ・質量と重さの話し   
− 質量と重さの話し −

今やデジタルカメラはちょっとした小旅行に欠かせない必需品です。高性能ながら小型化し、軽くなりました。そのほか、外出するときに携帯する必需品として、携帯電話や腕時計、女性であればハンドバックなどがありますが、一般に軽いほど持ち易いので、軽いかどうか購入するとき気になりますね。


最近の商品カタログでは、「重さ」や「重量」という言葉が使われなくなり、かわりに「質量(しつりょう)」という言葉が使われるようになっているのをご存知でしょうか。


例えば、デジタルカメラ、携帯電話、腕時計、ハンドバックの商品カタログのサイトを覗(のぞ)いてみましょう。


○PENTAX デジタルカメラ → http://www.digital.pentax.co.jp/ja/compact/
○時計・腕時計 → http://www.getmart.jp/fashion_clock.html
○ファッションブランドバッグ → http://www.getmart.jp/fashion_bag.html


いずれも、質量という表現ですね。家電製品でもほとんど、質量が使われています。なぜ、重さや重量にかわって質量が使われるようになったのでしょうか。今回は、そのお話しです。


質量とは・・・?


質量とは、物体そのものを構成する物質の分量を表わします。質量の単位は、g(グラム)あるいは、kg(キログラム)です。4℃の水1リットルの量(かさ)が1kg に当たります。


質量を持っている全ての物体は、お互いに引き合っています。その引き合う力は、物体の質量に比例します。これを万有引力の法則と言います。


昼休み、公園のベンチにA嬢(女性)が腰掛けています。そこに、B氏(男性)がやってきて同じベンチに腰掛けました。好むと好まざるとにかかわらず、A嬢とB氏は引力でお互いに引き合っているのです。


しかし、A嬢はB氏の引力を感じることはありません。それは、我々は、B氏の質量と比べものにならない大きな質量を持った地球の上にいて、地球が我々を引っ張っているからです。地球が我々を引っ張っている力に比べて、隣にいる人や物の引力は無視できるほど小さいから、私たちはそれを感じないのです。


地球が人や物に及ぼす引力を、重力と言います。公園においてある石を持ち上げようとすると重いです。発泡スチロールであれば、軽いので難なく拾えます。それは、石に働いている重力は大きく、発泡スチロールに働いてる重力は小さいからです。


物に作用している重力のことを、私たちは「重さ」あるいは「重量」と言っています。それは、それで良いのですが、私たちは、これまで便宜的に、重さ(重量)の単位として、本来は質量の単位である g あるいは、kg を使ってきました。このことが今、厄介な問題になっているのです。


宇宙や月では?


万有引力の法則によると、2つの物体間の引力はその距離の二乗(じじょう)に反比例します。あなたとあなたの伴侶(あるいは恋人)との距離が今いる距離の2倍になれば、お互いが引き合う力は、2×2=4で、4分に1になります。距離が3倍になると、3×3=9で、9分の1になります。逆に密着すればするほど、二人の間の引力は無限大になるという理屈になります。


今ここに、質量300gのデジカメがあります。そのデジカメは、地球の引力で引っ張られているので、それを手に持つと重さを感じます。その重さ(重量)を今まで、私たちは、便宜的に300g と表現してきました。


このデジカメを富士山の頂上に持っていくと、地球との距離が遠くなるので、引力は小さくなります。さらに、ロケットに積んで地球を離れると重力は、だんだん小さくなり、ついには、地球の引力が及ばない宇宙まで行くと無重力状態になり、そのデジカメの重さ(重量)は0になって空中に浮くことになります。デジカメは、依然として、質量300gの物体として存在するのにもかかわらずです。


やがて、デジカメを積んだ宇宙船は、月に着陸しました。月も大きな質量を持っているので、デジカメは万有引力で月に引っ張られますが、その引力は地球の引力の約6分の1です。すなわち、月の上で重さをはかれば、その重さ(重量)は、地球の上ではかったときの6分の1ということになります。


このように、物体の質量はどこへ行っても変わらないのに対して、その重さ(重量)は、場所によって変わることになります。つまり、物体の分量を重さ(重量)で表していたのでは、不都合が生じます。そこで、物の分量を本来の「質量」で表そうというのです。


りんごが落ちる逸話、N(ニュートン)! が重さの単位


それでは、重さ(重量)の単位は、正式にはどうなるのでしょうか? 詳しい説明は省略しますが、重さ(重量)は、質量(kg)に 9.8 をかけた値で、単位はN(ニュートン)という単位を使います。わが国でも、今ではほとんどの企業が、この国際的な単位を使うようになっています。


例えば、質量60kgの人の重さ(体重)は、60kg×9.8=588Nなわけです。おおよそ、10倍すればいいですね。


イギリスに生まれたニュートン(1642〜1727年)は、今から340年前の23歳のとき、ウルスソープの家の庭で、りんごが落ちるのを見てひらめきました。それがヒントになって、万有引力の法則を発見しました。重さや力の単位は、ニュートンの名前を記念して付けられました。


戸惑っている? 理科の先生


この「質量と重さ」の問題は、みんなが戸惑っている問題で、一番戸惑っているのは中学校の理科の先生でしょう。なぜかと言いますと、中学校の理科の教科書では、平成14年度(2002年度)から、重さや力の単位としてN(ニュートン)が使われるようになったのです。


中学校のお子様、あるいはお孫さまをお持ちの方、理科の教科書を覗いてみて下さい。『質量1kgの物体にかかる重力の大きさ(重さ)は、約10Nである』と教科書に出ているはずです。


しかし、小学校では難しいので従来通り、g(グラム)やkg(キログラム)が重さの単位として使われています。


スーパーの表示は・・・?


さて、奥様方、スーパーで質量3kg のお米を買うのに、「重さ約30N(ニュートン)のお米を下さい!」と言うと、お店の人が首をかしげて混乱しますね。


スーパーや商店街のお店では、どのような表示を使っているでしょうか。例えば、内容量320gという表現になっていますね。重さ(重量)も質量も使わないで、容量という表現が使われています。


さて、この320gは、何を意味しているのでしょうか? これまでの話しの流れからして重さではなく分量、すなわち「質量」を表していることは明らかですね。


このように、技術の進歩や国際化の波は、私たちが日常生活で使う単位にも変化をもたらしています。

2005.02.18  
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