レポート  ・第2回まごころ青春短歌大会   
− 第2回まごころ青春短歌大会 −
2009年11月21日、第2回まごころ青春短歌大会発表会が薩摩川内市入来文化ホールで開催されました。この短歌大会は、短歌の普及と短歌に親しむ青少年の育成を目的として、鹿児島県歌人協会青春短歌委員会(森山良太委員長)の起案と支援により、薩摩川内市で結成された実行委員会(入来院重朝委員長)が2008年より開催しているもので、第2回の今年は、県内の中学生と高校生から11,333首(中学生 6,712首、高校生5,261首)の応募がありました。
 
4名の選考委員によって、中学生の部と高校生の部の特別賞、特選、入選、佳作がそれぞれ選考されました。21日の発表会には受賞者や関係者ら約 100人が参加。賞状や歌を書いた短冊などの贈呈があったあと、選者で歌人の伊藤一彦さんの記念講演があり、そのなかで特別賞の作品ひとつひとつについて講評を話されました。特別賞の各8首を以下に紹介します。

 
【中学生】
 
○まごころ青春短歌大賞
 
   約三分走り続けた県大会永遠よりも長い一瞬
               
             南さつま市立金峰中学校・一年 大久保 咲希
 
○鹿児島県知事賞
  
   春の空あふれ出しそうな青色に心をとられ両手を伸ばした
 
             薩摩川内市立樋脇中学校・二年 百木野 杏海
 
○薩摩川内市長賞
 
  くだらない毎日がただうれしくて青い春なんて言えたものじゃないけど
  
             鹿児島市立武中学校・三年 副島 摩利子
 
○鹿児島県歌人協会賞
 
   たくさんの努力を経て知りました勝ち負けじゃない戦いがある
 
             薩摩川内市立入来中学校・三年 徳田 翔沙
 
○南日本新聞社賞
 
   お日さまの香りの枕を腕で抱きトーストになった気分で眠る
 
             薩摩川内市立川内北中学校・一年 永留 拓実
 
○岩屋莫哀賞
 
   数学をどんなに勉強していてもだれにも解けぬ恋の計算
 
             南さつま市立金峰中学校・二年 栫井 菫
 
○森園天涙賞
 
   夕やけに赤く染まるこの町はどんな絵よりも芸術作品
 
             長島町立長島中学校・三年 大平 香寿美
 
○萬造寺齊賞
 
   雨の後川に行ったらおぼれるよくるなといっておこっているから
  
             伊佐市立菱刈中学校・一年 寺師 大地
 
【高校生】
 
○まごころ青春短歌大賞
 
    大好きだ私の心を盗む人家族や友達そして恋人
  
             津曲学園鹿児島高等学校・三年 町田 朝美
 
○鹿児島県知事賞
  
    逢いたいと書けば重すぎ会おうよと書けば軽くて絵文字を探す
  
             鹿児島県立末吉高等学校・三年 坂元 理沙
 
○薩摩川内市長賞
 
    父と見る夕暮れ時は同じだが我には青春彼には回想
 
             池田学園池田高等学校・一年 谷 圭祐
 
○鹿児島県歌人協会賞
 
    好きですと愛してますと言いたいがいつも拒否する俺の教科書
  
             鹿児島県立伊集院高等学校・三年 橋口 友哉
 
○南日本新聞社賞
 
    帰宅して見えない場所に置いておく家族の団らんメールは休憩
 
              鹿児島純心女子学園
                鹿児島純心女子高等学校・三年 佃 香凛
 
○岩屋莫哀賞
 
  やぎのフン取っている姿は地味だけどやぎのためならなんでもできる
  
             鹿児島県立市来農芸高等学校・三年 大原 詩織
 
○森園天涙賞
 
    白球に思いを込めて投げた球この一球で夏が終った
 
             鹿児島県立種子島高等学校・二年 古田 郁弥 
 
○萬造寺齊賞
 
    夏休み宿題しない俺よりもエサとる魚のIQ高
 
            鹿児島県立大島北高等学校・一年 久保田 貴広
 
俳句については、鹿児島県南九州市で『南九州市かわなべ青の俳句大会』が毎年開催されており、第11回の今年は、県内外の小中高校・特別支援学校の児童生徒から13万2000近くの俳句の応募があったそうです。まごころ青春短歌大会も第2回目の今年は、薩摩川内市提案公募型補助金の交付を受けて実施されました。まごころ青春短歌大会がこれからますます発展し、南九州市かわなべ青の俳句大会と並ぶ双璧となって欲しいと思います。
 
なお、第2回まごころ青春短歌大会の選考委員は、伊藤一彦氏(歌人、第42回迢空賞受賞)、川涯利雄氏(歌人、現代歌人協会員、『華』短歌会代表)、川野ちづゑ氏(歌人、『かごしま短歌時評』執筆者)、森山良太氏(歌人、第51回角川短歌賞受賞)の四氏が務めました。

 

2009.11.28  
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