4月も中旬を過ぎると南九州は、吹いた木の芽がすっかり大きな若葉に成長し、新緑の頃を迎えています。特に、柿や栗の木、銀杏の木などの落葉樹の新緑は、それらの木々のわずか1〜2ヶ月前の枯木立の光景がまだ脳裏に残っているだけに印象的です。今頃の時期を『木の芽時』と言います。
木の芽時は、健康に気をつけなさい!
春は、温かで穏やかな時期というイメージがありますが、「木の芽時は、健康に気をつけなさい!」と言われていますね。「木の芽時」でインターネット検索してみると、約1,000のページが検索されますが、その多くが、木の芽時の健康に触れた記事です。
昔から木の芽時は、血が騒ぐ季節といわれ、漢方では「春は病、肝に在り、頭に在り」
と言われているようです。
春になると、植物は花を咲かせ、虫は動き出し、動物は生殖機能が旺盛になります。人体も同様で、体の奥にしまっていたエネルギーを体中に行き渡らせる時期です。
その主役を演じるのが肝臓で、その作用がスムーズだと、気力が満ちてき、気分上々のはずなのですが、肝の陽気(身体を温める働きのあるエネルギー)がうまく全身に
回らず、陽気が頭に集中すると、イライラや不眠、のぼせ、血圧の上昇などを招き、精神的に不調になりやすいと言われています。
春になると雪が水となって解け出すように、人体でも冬に溜まっていた毒素が、春に
なって流れ出すといわれていますし、春は花見や宴会でお酒を飲む機会も多いです。
木の芽時は、肝臓の機能が低下して血液の解毒が不十分になり、いろいろな病症が
出やすくなります。
『のどかなる春のまつりの花しづめ風をさまれとなほ祈るらし』(新拾遺和歌集)
「のどかな春の日の花しずめのまつりで、風よおさまれとさらに祈るらしい」と歌っているこの古歌にあるように、春たけなわの春花飛散・百花繚乱の時節になると、疫神が分散して流行病を起こすと考えられ、これを鎮圧する祭りが古来から行われてきたようです。
その代表的な祭りである奈良県桜井市三輪の大神(おおみわ)神社の「鎮花祭」
(はなしずめのまつり)と京都・今宮神社などで行われている「やすらい祭」について、インターネットで調べてみました。
「鎮花祭」(はなしずめのまつり)
この祭りは、大宝令(701年)に、国家の大祭として毎年行うよう定められ、国民の無病息災を祈願したとされています。現在では、「薬まつり」とも呼ばれ、毎年4月18日に、大神(おおみわ)神社で行われています。奈良、大阪、京都の製薬業者や薬業界の関係者、医者等が参列し、多くの医薬品が奉献されます。また、延命長寿のご利益があるという鎮花御幣忍冬酒などの授与があるそうです。
→ http://www.jrx.jp/odekake/event/13967.html
京都・今宮神社の「やすらい祭」
この祭りは、京都三奇祭のひとつとされ、国の重要無形民族文化財に指定されています。三輪大神の「鎮花祭」と、後に疫神や政争などに敗れた死者の怨霊を御霊神として崇め祀るために営まれた「御霊会(ごりょうえ)」とが結びついた民衆の中から生れた祭りであると言われます。桜や椿などを飾り付けた風流傘を中心にして、赤毛や黒毛をつけた子鬼・大鬼が太鼓や鉦(かね)やお囃子(はやし)の音に合わせて飛び跳ねて踊り、氏子地域の厄を祓いながら練り歩くのだそうです。
→ http://www.geocities.co.jp/HeartLand/4618/yasuraimatsuri.html
活力を覚える季節には、体も筋肉も自ら動きだそうとするので、リラックスした気持ちで、適度の運動と疲労ストレス解消を心掛けのがよろしいのではないでしょうか。「木の芽時には、体調を崩す」とあまり気にし過ぎると逆効果になるかも知れません。 |
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