レポート | ・排出権ビジネス |
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地球温暖化防止のための京都議定書が先週の 2005年2月16日に発効し、先進国に課された温室効果ガスの削減目標は国際公約となり法的拘束力が生じることになりました。これにともなって、『排出権ビジネス』が本格化するといわれています。地球温暖化の問題と排出権ビジネスについてレポートします。
地球温暖化問題 地球は太陽によって温められていますが、温められた熱はそのまま地球にとどまっているわけではなく、赤外線となって大気圏外に放出されます。しかし、すべての熱が放出されるのではなく、赤外線が二酸化炭素やメタンなどのガスに吸収されることによって、地球の大気は平均気温が15℃という適正な温度に温められています。 いわゆる温室効果といわれるこの効果がないと、地球の大気温度は−18℃まで下がってしまいますが、逆に温室効果ガスが増えすぎると地球の気温が上昇し、自然生態系等に悪影響を及ぼすことになります。 京都議定書 そこで、 1992年にリオ・デジャネイロで開催された地球環境サミットにおいて、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを目的として、気候変動枠組条約が我が国を含む187カ国及び欧州共同体で締結されました。 その第3回締結国会議(COP3)が 1997年(平成9年)12月、京都で開催され、二酸化炭素やメタンなど6つの温室効果ガスの排出削減の義務などが定められたことから、その取り決めが京都議定書とよばれています。 ガス排出権売買 日本に課せられた2008年〜2012年の温室効果ガス排出量の削減目標は、1990年の排出レベルに対して6%ですが、 2003年の排出量は削減どころか、逆に8%増えており、実際は 14%削減しなければならない状況です。 日本政府は、森林による二酸化炭素の吸収と省エネによる化石燃料の消費抑制などで削減を図り、1.6% は排出権取引を活用して、排出権(排出許容枠)を外国から買う形で目標を達成する予定のようです。 排出権ビジネス 排出権(排出許容枠)を外国から買うということは、どういうことでしょうか。温室効果ガス削減の数値目標の達成が難しい国や企業は、目標値以上の削減を達成した国や企業から、その余った排出許容枠を買うことできる『排出権取引』という手法が考え出されました。世界の「どこで」削減されたかではなく、世界中で「どれだけ」削減されたかが重要だという考え方に基づく制度です。 国や企業は、この排出権取引を上手に活用することにより、設定目標をクリアーできなかったことによってこうむるリスクを最小限に留めることができ、一方で、新たなビジネスチャンスが生まれるわけです。 日本やドイツなどの排出権ビジネスを展開しようとしている企業は、ポーランドやルーマニアなどの中・東欧に注目しているといわれます。こうした地域の老朽化した発電所や工場の燃料を天然ガスへ転換したり、設備更新投資を行うなどして二酸化炭素の排出を大幅に減らします。中・東欧諸国では排出枠に余剰があるので、減らした分は、排出権(排出許容枠)としてEU加盟国や日本などに売却できます。それによって、設備更新の資金がねん出できるわけです。 企業レベルでは、既に国境を越えた排出権の売買が行われており、排出権ビジネスは数兆円規模の市場になると言われています。 |
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2005.03.01 | ||||
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