コラム  ・フランス小話 〜 カーンさんの靴屋   
− フランス小話 〜 カーンさんの靴屋 −
フランス人は『粋』(いき)で、イギリス人は『お高く』、オランダ人は『ケチ』だとか。そして、フランス人は、ウィットやブラックユーモアがお好き。たくさんのフランス小話があるようです。
 
 フランス小話(その1)
 
産院で二人の赤ちゃんがおしゃべりをしています。
一人の赤ちゃんが、
もう一人の赤ちゃんにたずねました。
 
『君、男の子?、女の子?』
『わかんな〜い』
『じゃ、僕が調べてあげる』といって、
 
最初の赤ちゃんがもう一人の赤ちゃんのシーツをめくり,
 
『君、女の子だ!』と叫びます。
『どうしてわかったの?』
『だって、ピンクの毛糸のソックスを履いているもん!』
 
 フランス小話(その2)
 
ある男が立小便をしていると、そこを通りかかった若い娘が、
くすくす笑うので、男がたずねます。
『娘さん、なんで、そんなふうに笑うんだい?』
『私って、とても小さなことで笑ってしまうの』『・・・』
 
さてさて、本題は、『カーンさんの靴屋』という小話でしたね。 
ある町で、カーンさんは、小さい靴屋ながらも堅実な経営をしていました。
 
〔挿絵1〕(カーンさんの靴屋)を見る 
 
ところが、ある日ブロックさんが右隣りにそれはそれは大きな靴屋を建て、『世界一の靴屋』という看板をでかでかと掲げました。
 
〔挿絵2〕(右隣りにブロックさんが靴屋を建てた)を見る
 
そうこうしているうちに、今度は、左隣りにサミュエルさんが、これもまた大きな靴屋を建て、『世界一安い靴屋』という看板を掲げました。
 
〔挿絵3〕(左隣にサミュエルさんが靴屋を建てた)を見る

 
困り果てたカーンさんは、自分も何か看板を掲げなくちゃと考え込みます。そして、ひらめきました。さて、カーンさんはどんな看板を掲げたのでしょうか? 皆さんがカーンさんだったらどんな看板を掲げますか? 自分の答を決めたら、〔挿絵4〕をご覧下さい。
 
〔挿絵4〕(カーンさんの看板)を見る
  
大きな靴屋だと対応が雑だろうな、安い靴屋は品質に問題あるんじゃないの、ということで、『親切がモットーの靴屋』『品質第一の靴屋』などと考えませんでしたか? このように、与えられた枠の中で、正面から深く掘り下げて問題解決を図ろうとする通常の思考法が『垂直試行』です。
 
これに対して、既成の枠に捕らわれずに、視点を様々に変えて問題解決を図る思考方法を『水平思考』(1970年代にイギリスのエドワード・デボノ博士が提唱)といい、商品開発などにおける思考スタイル、発想法として取り入れられています。カーンさんの発想はまさしく『水平思考』だったわけです。
 
【備考】
フランス小話『カーンさんの靴屋』については、昨年(2009年)10月、鹿児島市内で開催された華短歌会文化講演会で、鹿児島純心短期大学特任教授の濱里忠宜先生が、『俳人金子兜太と遭う』と題する講演の中で紹介された話しを、ここに引用させてもらいました。
 

2010.01.13  
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