レポート | ・蜂群崩壊症候群(CCD) |
− 蜂群崩壊症候群(CCD) −
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南九州に住むわが家の菜園には、この夏、ニガウリがよく生長し繁々と葉を茂らせ花も咲かせました。しかし、花は咲けども実がつかずでした。状況は、隣近所でも同じだったようです。どうも、咲いたのが雄花だけで雌花が少なかったのが原因のようです。雄花と雌花が咲いても受粉が行わなければ、これまた実ができません。 受粉の最も優れた媒介者はミツバチです。世界の25万種の顕花植物(花をつけて種子を作る植物)の実に4分の3が受粉を必要とするということですから、ミツバチの受粉媒介の働きがいかに重要かが理解できます。 アインシュタインは、『もし、地球の表面からミツバチが消え去ったら、人間は4年も生きてはいけないだろう』と言ったそうです(ただ、この言葉がどのソースから引用されたのかは報告されていないこと、この言葉が最初に使われたのは、アインシュタインの死後39年たってからであったことから、『出典の怪しい言葉』とされているようでもあります)。いずれにしろ、ミツバチがいなくなったら農業生産は成り立たなくなるわけです。 花の回りを『ぶんぶん はちが とぶ』のは、日常見慣れた当り前の光景ですから、ミツバチがいなくなるなんて考えたこともないですね。ところが、2006年以来アメリカやヨーロッパで、ある日突然ミツバチの大群が集団失踪してしまうという不可解な現象が起きているのです。 この現象は、『蜂群崩壊症候群』(ほうぐんほうかいしょうこうぐん)あるいは、CCD(Colony Collapse Disorde) と呼ばれます。日本では、『いないいない病』(『イタイイタイ病』と『いないいないば〜あ』がかけられた造語)とも呼ばれているようです(そんな駄洒落を言っている場合ではないのですが・・・)。 巣箱全体の30〜90%もの大量の蜂が突然いなくなること、女王蜂や幼虫は巣に残っている場合が多いこと、原因が特定できないことなどが、蜂群崩壊症候群(CCD)の特徴とされますが、不吉なことに、巣箱の中や巣箱付近に蜂の死体が見当たらないそうです。 アメリカでは、 100以上の農作物の商業的生産がミツバチの媒介に依存しており、多くの生産者は、商業養蜂家からミツバチ(セイヨウミツバチ)を借りており、その割合は農産物全体の3分の1にも及ぶといいます。養蜂家は、ミツバチの巣箱を場所から場所に移動させ、さまざまな農作物を受粉させるのです。 ところが、突如おこったミツバチの失踪。その結果、ミツバチ価格が高騰し、肉類や乳製品価格にまで影響が及ぶ危険性があると言われます。CCDは、全米の多くの州で報告されている他、ヨーロッパ諸国なども同様の現象に遭遇しているそうです。原因を解明し対策を講じないと世界レベルで深刻な農作物被害とそれに伴う食糧危機まで発展しかねないと言われています。 CCDの正確なメカニズムはいまだ解明されていませんが、イスラエル急性麻痺ウィルスというウィルスとの強い関連が示されている報告もあるようです。栄養失調や農薬、病原体や免疫不全、ダニや真菌、遺伝子組み換え農作物や養蜂上の慣習(例えば、抗生物質の使用や養蜂箱の長距離輸送)、過度のストレス、電磁波など、CCDの原因として多くの要因が提案されているようです。 花粉媒介産業の最大規模の例として、カリフォルニアのアーモンド畑があげられます。毎年2月中旬から3月中旬にかけて 600億匹近いミツバチを集め、22万3000ヘクタールに広がるアーモンドの花を受粉させるそうです。そうすると、ミツバチは単一の花の花粉と蜜のみを吸うことしかできず、免疫力の低下、過酷なストレス、幼虫の栄養不足に陥ったりする可能性が指摘されています。 CCDの原因は未だ特定されていませんが、かつては多様な野生種のハチが提供していた無料の花粉媒介サービスに取って代わった、たったひとつの外来種のハチ(セイヨウミツバチ)で成り立っている花粉媒介産業と農業集約化に密接な関連があるということは、生態学者の間で一致した見方のようです。 日本でも、今年(2010年)に入って、兵庫県丹波地方の養蜂農家で、女王蜂を残したまま、数万匹で構成されるミツバチの部隊が 120群まるごと失踪したという例があるようです。決して対岸の火事ではありません。 【参考にしたサイト】 (1)NHKクローズアップ現代『アメリカ発ミツバチ” 大量失踪”の謎』(2008年06月12日放送) (3)蜂群崩壊症候群 − ウィキペディア (4)蜂群崩壊症候群 とは - コトバンク (5)ミツバチ集団失踪の怪。 兵庫でも一夜にして数百万匹が消える (6)【生物】消えたミツバチ(蜂群崩壊症候群(CCD)) WorldWatch-Japan.org |
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2010.09.01 | ||||
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