雑感  ・バーチャルについて思うこと   
− バーチャルについて思うこと −

確かに、ネット上のコミュニケーションでは、お互い身元を知らないし、容姿も見えませんが、それでも、書き込みやメール、あるいはホームページに感動したり、共感を覚えたりすることができます。
 
そのことによって私たちは、ネット仲間のそれぞれのイメージやパーソナリティー(個性、人格)を自分の中に作り上げているのではないでしょうか。真摯(しんし)なネットワークコミュニティとは、そういうものだと思います。
 
いつも素敵なホームページの更新案内をくれる人がいる。どんなご婦人だろうかと想像して、果てはちょっぴり憧れさえ抱く。そんな人から、ある日『われは、男性でござった!』などと書き込みがあったらどうでしょう。ショックというより、裏切られた気持ちになります。
 
『ネカマ』という言葉をご存知でしょうか。つい最近知った言葉です。ネット上のコミュニケーションでは身元や容姿、声などが確認できないのをいいことに、ネットワークコミュニティで女性のように振舞う男性のこと、つまり『ネットワークおかま』のことをいうのだそうです(IT用語辞典e−Wordsより)。
 
バーチャルな自分を振舞いたければ、そうしたことを前提にした類(たぐい)のチャットやメーリングリストで楽しめばよいことであって、問題は、バーチャルが許されるかどうかということよりも、バーチャルなことがバーチャルのこととして共通認識されているかどうかということです。現実の世界へバーチャルを持ち込んで、現実なのかバーチャルなのか分からなくなると混乱や弊害を招きます。
 
そのような意味で、気になっているテレビCMがあります。日が沈みかけたアフリカのサバンナの真ん中で、喰う立場にあるライオンと、喰われる立場にあるシマウマが、抱き合って友情を確かめ合う。そのまわりでは、象やダチョウ、インパラ、ミーヤキャット、マサイ人が感動の涙を流しながらその光景を見守る。そして、『こんな平和、見たことない』という、パチンコメーカー(株)平和のCMです。
 
監督を務めた神谷佳成氏は、カンヌ国際広告祭で銅賞や銀賞を受賞した実績の持ち主で、CMに登場するライオンとシマウマは、アニマトロニクスという最先端技術を駆使し、約2ヶ月の期間をかけて制作したものだそうです。
 
まさかこれを本物だと思う大人はいないでしょうが、子供から『お父さん、これ本物なの?』と質問されたら、とっさにどう説明したら良いか答えに窮するほど、精巧なできばえです。
 
実際には、補食・被食関係という厳しい現実があって生態系が保たれていることを理解できている上で、あくまでバーチャルな作りごととして見れるのだったらよいででしょうが、小さい子供は現実のことかと勘違いするでしょう。
 
このテレビCMはCMとして大成功を収めているようですが、ライオンとシマウマが抱き合うという歪(いびつ)でバーチャルな関係に違和感を覚えるのは私だけなのでしょうか。
 
【用語】
『アニマトロニクス(animatronics)』= 動物のロボットを使った撮影技術で、「アニマル」もしくは「アニメーション」と「エレクトロニクス」から来る造語とされる。映画だけではなく、ディズニーランドなどのテーマパークでも使われている。(出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
 
【備考】
本記事を書くに当たって、下記のサイトを参考にしました。
・パチンコビレッジ 業界関連ニュース/平和のCM第2弾「ライオンとシマウマ」篇
 → http://www.pachinkovillage.ne.jp/2001news/0409/040914_1.html
 

2005.07.27  
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