レポート  ・人工知能ロボットの夢と懸念   
− 人工知能ロボットの夢と懸念 −
これまでロボットは、工場で組立作業や品物のハンドリング(持ち運び)などを行う産業用ロボットが主流を占めていましたが、人工知能などの技術開発の後押しによって、サービス用のロボットが増え出しているそうです。
 
横浜市内にある日帰り介護サービスセンターでは、高齢者を前に富士ソフト(株)のロボット『パルロ』がソーラン節を歌ったり、落語を披露するなどして場を盛り上げたそうです。
 
この施設では、ロボットが高齢者と新たなコミュニケーションを生み出す可能性があると考え、試験的に導入を始めました。その背景には、高齢者の介護施設で、レクリエーションが現場職員の大きな負荷となっていることがあるといいます。
 
認識、解釈、連想、回想、推論、学習といった機能をコンピュータを用いて実現するいわゆる人工知能の技術が進めば、人間がふだん何気なくしているような動作 − たとえば、角砂糖を瓶から取り出してコーヒーカップに入れるとか、障害物に当たらないように手を伸ばすなどといった動作 − をロボットに自在にさせることができるようになるでしょう。
 
そうなれば、介護の分野だけではなく、農業や土木建築あるいは災害現場などといった人手不足が懸念される分野で、人間にかわってロボットが活躍することが期待できます。経済産業省は、国内ロボット市場が平成47年には27年比の約6倍になると予測し、ロボット産業を新成長戦略に組み入れています。
 
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2004年に公開された20世紀フォックス配給のアメリカ映画に『アイ、ロボット』という映画がありました。
 
西暦2035年のシカゴでは、ロボットは既に人間のサポート役として日常生活に溶け込んでいます。そんな中、U.S.ロボテックス社は、新たに開発した次世代家庭用ロボットNS−5型を出荷しようとしていました。
 
しかし、その直前、ロボット工学の第一人者であるラニング博士がU.S.ロボテックス本社ビルで殺害されます。そして、まもなく人間に対するロボットたちの反乱が始まったのです。
 
ロボット三原則により、絶対に人間に危害を加えないはずのロボット。ロボット嫌いのスプーナー刑事とロボット心理学者のカルヴィン博士は、その謎を追及するうちに、やがて、驚愕の事実を知ることになります・・・。ロボット三原則を歪め、人類の保護という名目のもと、人間の支配に走り出した一台のメインフレーム・コンピュータがすべての命令を下していたのです。〜『アイ、ロボット - Wikipedia』を参考。
 
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上述の物語は、あくまでSF映画の中でのことですが、人工知能の行き過ぎた開発は、人類の終わりを意味するかもしれないと、イギリスの天才物理学者スティーヴン・ホーキング博士は警告します。
 
ホーキング博士によれば、人工知能ロボットが一定の段階まで進歩すると、それは自分で自分自身を再設計するようになるだろう。いちどそのプロセスが始まってしまえば、ゆっくりとしか進化することのできない人類にはまったく勝ち目がなくなってくる。
 
人類は生物学的な進化のプロセスに制約されているのに対して、人工知能ロボットにはそのような制約はないから、加速度的にしかも無制約に能力を向上させていくだろう。それは、人類が人工知能に取って代わられることを意味する。というのです。
 
そのような危惧を抱いているのはホーキング博士だけではなく、テスラモーターズの会長兼CEOイーロン・マスク氏も同様の指摘をしているといいます。彼は、人工知能が発達すれば、人類をスパム(無差別かつ大量に一括して送信されてくる迷惑メール)のように削除するようになるかもしれないと述べています。
 
【備考】 ロボット三原則
アメリカの作家、アイザック・アジモフ(1920年〜1992年)が、1950年に刊行のSF短編小説集『われはロボット』の中で提唱したもの。〔第一原則〕ロボットは人間に危害を加えてはならないし、人間に危害が及ぶのを見過ごしてはならない。〔第二原則〕第一原則に違反しない限り、ロボットは人間の命令に従わなければなりません。〔第三原則〕第一原則、および第二原則に違反しない限り、ロボットは自分自身を守らなければならない。


2015.01.07 
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