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大枯野マグマ溜りの山熱く
平成を生きて我あり年忘
年忘やがていつもの泣き上戸
わが村を覇者オリオン座一跨ぎ
尖塔の天に突き刺す星月夜
藁塚(わらづか)に陽のにほひ日の名残かな
白磁器の素肌に描く秋桜
白磁器に挿す吾亦紅二三本
コスモスの咲いて背丈は子の高さ
コスモスの揺れて生駒の風を知る
村中にこだま響かせ運動会
(近くの認定こども園の運動会の閉会式の講評で)
大ヘゴや奄美の森の星月夜
命日や白磁器に挿す吾亦紅
むかご飯お店のママは寡婦(かふ)のまゝ
天草に白磁器買ふや萩の花
廃屋に人のにほひや百日紅
冒険に似たる吟行山蚯蚓(みみず)
滝風に下界のうさを奪はるる
(そばどんの滝(薩摩川内市)吟行句・三句)
口紅は少しきつめに著莪(しゃが)の花
鎌の刃の錆びて久しく郁子の花
蕗の薹仲直りせねばなるまい
春燈や箱は六角五色豆
関取の投げて始まる追儺式
豆まきや子らの目線の鬼になる
柊(ひいらぎ)を挿す門札の重さかな
一日のゴキブリ亭主女正月
(歳旦三つ物)
幼子も初笑する客間かな
笑顔で開く重詰料理
水仙の原より水の流れ来て
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