俳句  ・ワシモ(WaShimo)の気ままに俳句   
選 評
2011年

 
里神楽舞ふ子のなんと大人びて
 
しぐるるや町家のなかの芝居小屋
 
冬の海海女の手にある真珠貝
 
ポインセチア唇はうす紅色に
 
ポインセチア私あなたに首ったけ
 
ポインセチア思いの丈を色に出し
 
峡の底空いっぱいのオリオン座
 
繕いの昭和のズック霜の朝
 
我輩はきょうも休日炬燵猫
 
自然薯を掘るを厭わずマグロ丼
 
茶の花や諦めに似た仲となり
 
一俵の炭を遺して父逝けり
 
むささびの飛んで静けさ連れてくる
 
吊るし柿ドレミドレミと提げにけり
 
過疎なれどここが青山柿吊るす
 
烏瓜夕陽を浴びて藪祭り
 
鶏頭を揺らしては降る島津雨
 
コスモスやトラックに牛売られ行く
 
普段着の着心地良さや栗の飯
 
美人画は竹久夢二杜鵑草
 
秋夕焼キューポラの鉄熔かす町
 
今日の月窓も心も開け放つ
 
きりぎりす昼餉支度の夫(つま)である
 
農道は稲穂の匂う月の夜 
 
水害の報に箸止む栗おこわ 
  
秋扇や白紙ばかりの日記帳
 
道具屋の持て余したる秋簾
  
鳥威し風に光の生まれけり
 
復興の槌音のごと虫の声
  
弁当に母の味詰め休暇明け
 
跡取りに縁談ひとつ落し水
 
天の川今夜のわたし泣き上戸
 
祝言の下り舟かな秋はじめ
 
退院の草ぼうぼうの残暑かな  
 
かなかなや振り切って乗る終列車
  
健診の結果良好蝉しぐれ
  
掬われて家族となりし金魚かな
 
苦瓜の実には似つかぬ花なれば
 
還暦の恋人ごっこかき氷
 
 
達磨絵の太い風来る柿団扇
 

二人居のきょうに乾杯梅酒瓶
  
満天の星を忘れて夏祭り
 
安芸灘はみかんの花の吹き溜まる

  
白壁ののれん藍色夏はじめ
 
鉄線の花に誘われ磁器を買ふ
  
使われぬ井戸に寄り添ふ著莪の花
 
げんげ野に暮色の母は小さかり
  
ともかくも灯のともる家げんげ咲く
 
雁風呂や祈るばかりのもどかしさ
 
鈴なりの慰霊の祈り花あしび

 
もろもろの思いのたけや辛夷咲く
 
急降下雲雀戯る街の際
  
リラ冷えや屯田兵を偲ぶ街
  
三椏や三々九度の祝唄
 
霧島を大俯瞰して鶴帰る
 
百日の祝に添える蕗の薹
 
 
独居家の破られもせぬ古障子
 
定年や妻の手ほどく根深汁
  
大小の家族でつくる雪うさぎ
 
流れ雲天を譲って冬の星
  
若者の天に一声出初式
 
新宿や枯野に母を残し来し
  

 
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