俳句 | ・ワシモ(WaShimo)の気ままに俳句 |
選 評 | |
2009年 |
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(柚子湯) 露天湯に星を落として柚子湯かな 五線譜のごと浮かべをる柚子湯かな 子の後にアヒルと入る柚子湯かな (時雨) しぐるるや誤解の解けてふたり傘 しぐるるや車窓に過ぎる田原坂 女湯のさんざめきをり山しぐれ しぐるるをものともせずに円覚寺 置き傘を借りるも旅情初しぐれ しぐるるや古道具屋の店じまい (葱・ねぎ) 青葱を一束残す直売所 ママチャリは三人乗りよ葱四束 葱洗う真白き母の割烹着 かっぽう着白葱ほどに白かりき (栗) はばからず袈裟懸けの僧栗拾う 新嫁に栗剥き教ゆ父である 栗飯や大食漢の二升炊き (秋の暮) 隣り家のいまだ戻らず秋の暮 分校に唱歌の声や秋の暮 空魚籠や何を土産に秋の暮 道化師の微動だにせず秋の暮 (秋) 田の神も紅白粉の秋祭り チンドンの白き化粧や石榴割る 箒目に待っていたよに木槿落つ 涼新た鎌研ぐ音に目覚めけり (風の盆) 目の冴えて水音だけの風の盆 夜流しのかたまりてゆく風の盆 反る指やこがれて哀し風の盆 (無題) 宅配のやっと通れる梅筵 紫陽花や世を闇にして雨の降る 雨靴も大きめ子らの更衣 このシャツも定年となる更衣 新緑や療養の床までみどり 麦秋や子ら来たといふ置き土産 午後よりは風ある予感竹落葉 ポケットにげんげの匂う帰り道 山つつじ連山の人天を行く 花かごに田の神揺られ村の春 軒下を雀に貸して春の雨 (伊豆吟行) 黒船の鋼(はがね)生き生き春の雨 旅果てて下田港の風車 葉わさびに花咲くといふ嬉しさよ わさび田に雨降る旅や天城越え (桜) 特攻碑花守にして人遊ぶ 手ですくう水に落ちたり山桜 (菜飯) ぴりからの程よき妻の菜飯かな 菜飯屋に停めて見上げる外輪山 還暦や菜飯の仲となりにけり (草餅) 焼つけし屋号ごと喰う草の餅 草餅をにわか包みに母の愛 (梅) 梅ひらく舞妓は誰もおちょぼ口 一鉢の梅が迎える車寄せ 梅の香や湯上がりを待つ暗あかり 白梅の天に連なる棚田かな 紅梅の枝垂れるまゝに通せんぼ (蕗の薹) よく笑う嫁でありけり蕗の薹 蕗の薹背籠かばひて摘みにけり ごつい手もそっと摘み取る蕗の薹 (無題) 雪催ひひとり上手の歌を聴く 不況風天に不動のオリオン座 主いない子らの机に飾餅 (霜) 靴底の薄き記憶や霜深し 母牽きし濃霜の朝の轍(わだち)かな 剪定の庭を固めて濃霜降る (歳旦三物) 生垣に匂ふ茶の花二つ三つ 音を入れたし獅子舞の笛 新嫁を大笑わせて初写し |
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