俳句  ・ワシモ(WaShimo)の気ままに俳句   
選 評
  2007年

 
寝付かれぬ峡の飯場や初霰
 
子の巣立ち玩具淋しき柚子湯かな
 
吊橋の重き撓しなりや冬の月
 
家族らはおでん日といふ単身日
 
おでん喰う酒は手酌と決めにけり
 
赤裸々に自省の日とす冬木立
 
朴落葉此処去り難く淀みけり
 
合鍵を贈物とすクリスマス
 
オリオンのわが村を飛び越えにけり
 
猪食ふや億光年の星の下
 
分校に合唱の声冬隣
 
きじ馬をねだる背の子やえびす市
 
元気な子きじ馬を牽け七五三

 
熟年の付かず離れず鴛鴦おしのごと
 
熟れあけび団塊のまた退職す
 
人参の匂い流して宗祇そうぎ
 
不揃いの人参ばかり講の朝
 
旧道の海を見下ろす夕紅葉
 
停車場で会ふ一鉢の菊人形
 
菊武者の見得を切りをり無人駅
 
弁当も紅葉づくしの紅葉狩
 
秋ともしオルフェの歌をかけようか
 
あるときは金木犀の風になる
 
空腹や茹でもろこしのふくふくと
 
秋燈や猫の寄りくる五十路坂
 
飛びだして行くあてもなし十三夜
 
唐辛子干されしままの一年忌
 
唐辛子厩うまやは納屋となりにけり
 
白壁の影絵動かず木守柿
 
藁塚にほ並べ兵馬俑かな球磨盆地
 
セピアなる駅待合の白桔梗
 
入院の四角形なる秋の空
 
秋天やいよいよ深し峡かいの底
 
廃校に背筋伸ばして白桔梗
 
いわし雲祖母山に天極めけり
 
鉄瓶に活くるとすれば吾亦紅
 
かいの旅君に見せたき蕎麦の花
 
行商の声も高らか鰯雲
 
つつましく生きよといふて糸瓜咲く
 
たわわなる糸瓜の花の軽ろきかな
 
烏賊刺しの透けて哀しき宿の夏
 
関空も峰雲の下旅立ちぬ
 
向日葵や東羽衣阪和線
 
退職日津々浦々の青田波
 
カップルを無邪気にさせて夕立過ぐ
 
広重の夕立となりぬ関の宿
 
白南風の千本松や薩摩鶏
 
凌霄や紅引き終ゆる宵あかり
 
山門に仁王を閉じ込めかき氷
 
紫陽花に軒先借りて雨やどり
 
寺町やこつんと枇杷の実の落ちる
 
ベンガラの竜宮門や梯梧
(でいご)咲く
 
藁苞
わらづとに温もり溜めて冬牡丹
 
田の神の紙垂
しで新しく初しぐれ
 

 
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