♪夜祭の宴
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旅行記 ・高千穂の夜神楽を訪ねて − 宮崎県高千穂町  2006.09
高千穂の夜神楽
(重要無形民俗文化財指定)

 分け入つても分け入つても青い山   山頭火
   
                                           
行乞流転の旅に出た種田山頭火が詠っているように、
高千穂地方は、宮崎の北端の九州山脈のほぼ中央部に位置する山峡の地です。
紀元前4,000年頃から集落が作られたといわれ、
天の岩戸開きや天孫降臨などの神話の町として知られています。


                                                            高千穂神社
高千穂地方に伝承されている神楽は、
天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸に隠れられた折に
岩戸の前で天鈿女命(あめのうずめのみこと)が
調子面白く舞ったのが始まりと伝えられ、
古来、高千穂の人々は永い間、高千穂神社を中心に、この神楽を伝承してきました。

  
  
毎年11月の末から翌年2月にかけて、各地の農村では、
一番から三十三番までの夜神楽を
夜通し踊って奉納し、秋の実りへの感謝と翌年の豊穣の祈願としています。
  

                                                    高千穂神社境内
  
また、高千穂神社境内の神楽殿では、
毎晩、午後8:00〜9:00、観光神楽として三十三番中の四番の舞が奉納され、
手力雄の舞、鈿女の舞、戸取の舞、御神躰の舞の順に、
二間四方の神庭(こうにわ)で踊られます。
その観光神楽を取材しました。

  
  手力雄(たぢからお)の舞
  
天照大神(あまてらすおおみかみ)が
天の岩戸にお隠れになったので、力の強い手力雄命(たぢからおのみこと)が
天の岩戸を探し出すために静かに音を聞いたり、
考えたりする様子を表現しています。

   

                                                
『手力雄の舞』は、
神面が『白』で、舞振りも静かな中に荘重なものです。

   

                                             
   鈿女(うずめ)の舞
   
天の岩戸の所在がはっきりしたので、岩戸の前で、
天鈿女命(あめのうずめのみこと)が
面白くおかしく舞い、天照大神を岩屋より誘い出そうとする舞です。

   
   

                                                    

   
天鈿女命は高天原きっての踊りの名手で、
身のはずかしさも衣もかなぐり捨てて、踊りに踊り狂い、
天照皇大神を誘い出そうとする
女神様ですが、舞は気品高く優雅です。

                
  戸取(とと)りの舞
   
天の岩屋も天の岩戸の戸も所在がはっきりしたので、
手力雄命(たぢからおのみこと)が
岩戸を取り除いて、天照大神を迎え出す舞で勇壮で力強く舞う舞です。

   

                                      
   
手力雄命(たぢからおのみこと)は、高天原で一番の力持ちです。
名前の通り、手の力(腕力)の象徴、つまり人間の筋力に宿る霊を神格化した神で、
この神がその怪力で岩戸を
投げ飛ばしたという伝承に基づいた舞です。
   
『手力雄の舞』に対して、『戸取りの舞』では
真赤な神面をつけ、力強さと荒々しさが表現されています。
   

                                                   
御神躰(ごしんたい)の舞
  
国生みの舞とも言われる舞いです。
イザナギ、イザナミの二神が酒を作ってお互いに仲良く飲んで抱擁し合い、
極めて夫婦円満を象徴している舞です。

  
まずはイザナギが登場したあと、
酒造りの道具を肩に担いでイザナミが登場です。
   
襷(たすき)を掛けてもらって、さぁ〜酒作りを始めましょう。
仲睦ましくお酒作りです。
さぁ〜、お酒が出来上がりました。
ところが、イザナギの行動がおかしいです。

イザナミの目を盗んで観客席に下りて、口元のよだれを拭うような仕草をしながら、
若い女性を物色して観客のもとへ・・・。
   
   
ところが、私も負けてはいられないわ! とばかりに、イザナミも
抜き足差し足で舞台を下りてゆきます。そして、前から二列目で観ていた外人夫妻のもとに近づいて、
なんと御亭主を押し倒すのでした。
もう会場の観客は大喜び! 爆笑〜、爆笑の渦です〜。
   
観客と一体となった舞、これもひとつの神楽の形なのでしょうか?

   
やり込められるイザナギでした ・・・。
仲直りしたところで、飲み直しです。あぁ〜美味しいなぁ〜〜。
   
   
毎年11月の末から翌年2月にかけて、各地の農村で踊られる
一番から三十三番までの夜神楽は
午後4時に始まって、翌日の正午まで続くのだそうです。
そうすると、踊る人も観る人もさすがにくたびれ飽きてきます。そんなとき、余興的な意味合いも持たせて
踊られるのが、この御神躰(ごしんたい)の舞だそうです。


                                       ライトアップに浮かび上がる神楽殿
  
かくして、高千穂の夜は更けていきます。
   
                                高千穂峡
   
そして、昼の見所ははやり高千穂峡です。
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