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旅行記 ・新庄のはやし田 − 広島県山県郡北広島町 2014.05.11
新庄のはやし田
神事が終わって、いよいよ五頭の飾牛が入場です。
西日本には、鎌倉時代の頃より、
田植えの際には、音頭取りが打ち合わす『ささら』(細かく割った竹を束ねたもの)の拍子にあわせ、笛や太鼓笛や鉦で
囃(はや)し、田植歌を歌いながら植えていくという風習がありました。
 美しく飾りつけられた牛は『飾牛』『花牛』と呼ばれます。
それは、『サンバイ』(田の神さま)を
祭って無病息災と豊穣を願う農耕儀礼であるとともに、重労働である田植作業を
楽しくこなすための工夫でもありました。
牛の鞍(くら)は仕事用のとは違い『花鞍』と呼ばれます。
やがて、田植えの行事は
一層華やかになり、代掻きの牛は造花で飾った花鞍をのせ、早乙女らは
赤い襷(たすき)や腰巻で着飾りました。
菅笠に蓑姿が中世の雰囲気を醸し出しています。
その華やかな様子から、
『花田植』『大花田植』あるいは『はやし(囃子)田』などと
名が付きました。
今日、牛たちは農耕には使われなくなりました。
広島県内では、
北部を中心に約20箇所で、この花田植の行事が郷土芸能として
いまなお継承されています。
そこで、飾牛は、田に入ることや人や楽の音に慣れる訓練を受けます。
毎年、その先陣を切って、
広島県山県郡北広島町の大朝(おおあさ)鳴滝渓谷入口で
行われるのが、『新庄のはやし田』です。
代田はそろそろ、田植えができる状態になりました。
新庄のはやし田は、
昭和34年(1959年)に、広島県の無形民俗文化財に
指定されました。
これから、早乙女の出番です!
さらに、昭和49年(1974年)には、
文化庁に記録作成等を講ずべき無形民俗文化財に選定され、
貴重な文化財として継承されています。
 まず、サンバイ(音頭取り)と笛が入場。
最近では、平成9年(1997年)に
宮高町の『原田のはやし田』とともに、『安芸のはやし田』として国の重要無形民俗文化財の指定を受け、
ますます貴重な文化財として評価され、大切に継承されてきています。
つづいて、早乙女と楽団(太鼓)が。
新庄のはやし田の
特徴として、周辺の地域と異なる『八調子』と呼ばれる
テンポの速さがあげられます。
 田植え縄を使って植えます。
それは、この地域の寒冷な気候のもとでは、
苗の株と株の間隔を少なくし、密度を高く植えるため、節が歌い終わる間に8株を
植えられるように工夫して創られたと考えられています。
 所作を合わせて同時に植えます。
新庄のはやし田では、
田植え作業の全体の進行を唄によって音頭をとる役割すなわち音頭取りを、『田の神さま』と
同じ呼び方で『サンバイさん』と呼びます。
笛と太鼓と唄の囃子が響き渡ります。
サンバイさんが持っている道具を
『サンバイ竹』といいます。これは、田の神さまである『サンバイさま』が竹の中に
宿っている信仰によるものといわれています。
足と手先は、もう泥んこ。
 サンバイさんは、
両手に持ったサンバイ竹を打ち合わせて、笛・小太鼓・大太鼓・鉦から
編成された『はやし手』全体の音頭をとります。
 〜 以上、『新庄のはやし田』の説明は、現地で頂いたチラシを参考にしました。 〜
初夏を告げる中世の田園絵巻も終わりに近づきます。
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