鈴木建設営業部に新任の部長として配属されてきた馬場(小林稔侍)は、実はハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)と同期。真面目で仕事一筋の馬場は、家庭の方では妻と離婚し、引き籠りの息子と2人暮らしで、親子関係もうまくいってない。そろそろ再婚を考える馬場は、行きつけのスタンドバーのママ、茜(風吹ジュン)が好きで、茜も馬場に好意を寄せているが、バツイチの馬場は息子のこともあって、茜にプロポーズをいい出せないでいる。そんな馬場が、ハマちゃんの後押しで、意を決して結婚を申し込みに行くと、茜は、あす店をたたんで郷里の”せんだい”に帰って病弱な母親と二人暮らしをするといい出す。落ち込んで気の晴れない馬場は、社長(三國連太郎)のお伴をして、鈴木建設が請け負った鹿児島県川内(せんだい)市(現薩摩川内市)に建設されるまごころ文学館の地鎮祭に行くことになった。地鎮祭を終えて市内にある新田神社に祈願にいく一行。と、馬場は風呂敷包みの仕出しをさげて神社の階段を上ってくる茜とバッタリ再会する。仙台の田舎に帰ったはずの茜に、僕に嘘をついたのかと問い詰める馬場。「ここは、せんだい(川内)よ」という茜。一度は諦めたはずの恋の炎が再燃した馬場は、ついに茜に結婚を申し込む。しかし、茜は病弱な母親を東京に連れていけない。仕事をとるか、恋をとるか。馬場は東京に帰って、息子の誠(西谷卓統)に「好きな人がいる」と告白し、一緒に鹿児島の甑島にいって暮らさないかとたずねる。誠は意外にも「いいよ」と答える。下甑島手打の茜の実家で結婚式が執り行われている最中、ハマちゃんと社長のスーさんは誠を連れて手打浜に釣りに出る。青い空と海、白い砂浜・・・、誠に投げ釣りを教えるハマちゃん。誠は次第に打解けてゆく・・・。地味な女性を演じる風吹ジュンの控えめな演技と男の苦悩を演じる小林稔侍の演技も良い・・・。(1997年9月9日公開) |