旅行記  ・磯の朝顔展  −  鹿児島市 仙巌園   

 
 近代的な工場群「集成館事業」を進める一方、幕末の難局にあって老中阿部正弘を補佐して活躍した薩摩藩第28代藩主島津斉彬(なりあきら)公。多忙な日々の中で、斉彬公が時間を忘れて楽しんだのが朝顔の栽培だったと言われています。朝顔は、奈良時代に薬草として渡来しましたが、約300年前頃から観賞用として栽培されるようになりました。江戸時代後期になると、他の園芸植物と共に、朝顔も江戸・大阪でブ−ムを迎え、江戸では変化朝顔(へんげあさがお)が流行しました。江戸での暮らしが長かった斉彬公も流行の変化朝顔を楽しんでいたと思われます。「集成館事業」を始めてからちょうど150年を迎えた2001年より毎年、仙巌園では、『磯の朝顔展』が開催されています。今年(2003年)は、7月19日(土)〜8月17日(土)の間、島津家と縁の深い朝顔80種・約3000鉢が展示され、観に行きました。
 撮影した幾つかの変化朝顔の写真を記載します。変化朝顔は、変わり咲き朝顔とも言われ、単純な変化をしたもので種が取れる「正木」と、種の取れない「出物」の2種類があります。出物は、雄しべも花弁になったり、雌しべが原型を留めないくらいに分裂したりして、受粉できないのです。出物は正木から、「突然変異」で生まれます。つまり、正木は劣性遺伝子を含んでいるので、その劣性遺伝子がうまいこと合わさると出物の種が生まれるわけです(メンデルの法則)。
                                             (旅した日 2003年8月)
江戸風鈴♪〜




 黄抱鍬形葉青色地紺車絞爪
黄色がかった内に反った鍬形の葉で青地で絞りがあり、花弁のふちに切れ切れに白い模様のある丸咲きである。


青水晶斑入弱包堺渦爪覆輪丸咲牡丹斑入で内側に弱く反り、基部の両翼片が重なりあっている葉で、うすい藤色の丸咲き。
  黄蝉葉栗皮茶丸咲大輪
葉の形は蝉のようで黄色がかった葉色で、茶色の丸咲き。


  青打込堺渦柳葉青丸咲
葉の基部が重なりあって渦巻状になり、青い丸い花が咲く。
 青堺渦打込蜻蛉葉青丸咲牡丹
葉の基部が重なりあったトンボのような葉で、青い丸い花である。


  青針葉極淡藤紫細切采咲
針のような葉で、花は非常にうすい藤色でいくつにも細かくきれている。
 青斑入芋葉枝垂淡紅車絞丸咲
斑入りの芋葉で、淡紅の絞りが入った丸い花である。




 青斑入並葉青藤丸丸咲牡丹
斑入りの葉で青色の丸咲きの花である。
   青笹葉淡藤紫切咲
花は淡い藤紫色で切れて咲く。




 松島常葉青時雨絞丸咲咲分
黄色がかった葉に緑の斑入りで、雀斑が青の花弁にある。
  青縮緬立田雨竜葉紫車咲
ちぢんだ紅葉のような葉で、紫の花弁が五裂し風車のように見える。



  青斑入蝉葉黒紫丸咲大輪
斑入り蝉葉で、黒っぽい紫色の花をつけた丸い大輪。
   黄抱並葉紅丸咲
やや黄色がかった内に反った葉で、花色は紅で丸咲き。




    黄抱並葉白丸咲
やや黄色がかった内に反った葉で、花色は白で丸咲き。
   青枝打南天葉白筒咲
南天のような葉が葉柄でねじれており、白い花が筒状になったもの。


    青常葉青丸咲
日本に渡来した当時の原種と考えられる。

【備考】 朝顔の名前とその説明文については、展示会場の案内板を参考にしました。また、(株)島津興業の公式ホームページを参考にさせて頂きました。島津興業の公式ホームページのアドレスは、 http://www.minc.ne.jp/shimadzu/ です。