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旅行記 ・入来神舞 − 鹿児島県薩摩川内市  2012.31
いりきかんまい
入来神舞
大宮(おおみや)神社(撮影日:2013年1月1日)
『大宮神社』の案内板
日吉神社は山王権現ともいわれ、古来朝野の信仰がきわめて深かった名刹です。わが入来では鎌倉時代に入来院地頭渋谷氏が勧請して以来七百余年、入来院内諸社の総社として、産業生産、縁結の神として郷民に厚く尊崇されて来ました。祭時の神楽舞の中には、『君が代』の歌が歌い継がれて来ているので、今の国歌の源泉は入来神楽にあるといわれて、映画にもなり、全国的に注目されるようになりました。
大宮(おおみや)神社
祭神 大己貴命
(また、大物主命、大国主命とも)
社格 鎌倉時代以来入来院の総社
    明治4年以来郷社
祭日 祈年祭 二月十九日
    例 祭 十一月二十三日
沿革
この神社は近江国坂本に鎮座する日吉神社の支社として祀られて来ました。
『君が代』発祥の地の説明板
 さるめまい
 猿女舞
猿女舞
本ホームページの管理者が住む川薩地方(薩摩川内市と薩摩郡さつま町)は、鎌倉時代に渋谷光重の男子の五兄弟が源頼朝から地頭職を与えられ下向して治めたところでした。
猿女舞
そのうちの入来院氏は島津氏の門閥に下りながらも700余年にわたって入来の地を治めた歴史を有しています。かつて入来院氏の総社で、明治4年以降は郷社となった大宮(おおみや)神社は、本ホームページの管理者の自宅から車で20分足らずのところにあります。
猿女舞(薄明りの中に衣装が浮かび上がります
ひのかみまい
火神舞
火神舞
その大宮神社で神舞が舞われるというのは知っていましたが、”近くにあるところは訪ねるのが概ね後回しになる”という例にもれず、やっと今回の訪問になりました。
火神舞(松明がとても綺麗でした)
 じょうににんつるぎまい
十二人剣舞
十二人剣舞(君が代は・・・の歌が唄われます)
訪れた2012年の大晦日は、最高気温が7〜8℃にしか達しないという、曇り空に冷たい北風の吹く日でした。日が暮れて夜になるとさらに気温が下がります。そんな中で、入来神舞は地元入来町に在住の小中高校生によって舞われました。
十二人剣舞(舞人は衛門隼人を象徴しているといわれます)
舞人の装束は薄着ですから寒かったことと思います。楽は太鼓1名、笛1名の二人でしたが、薄装束に座ったままの演奏ですから、もっと寒かったことでしょう。
十二人剣舞(中央鬼神が登場)
裏山と左右の杉木立に囲まれた、そう広くない境内に、注連縄(しめなわ)を張り巡らした24畳の畳敷きの結界を設(しつら)えて舞われました。照明は小さなサーチライトが2個灯されているだけで舞台は薄明りです。
十二人剣舞(中央鬼神が天照大神のいわれを説き回ります)
したがって、カメラ撮影はストロボを必要としました。フラッシュがたかれると薄明かりの中に舞人の装束が浮かびあります。そうした雰囲気の中で舞われた、鎌倉時代から踊り継がれてきたという入来神舞は、決して派手さのある神舞ではなかったですが、清々しい幽玄な神楽舞でした。
十二人剣舞
みくもまい
三隅舞
三隅舞
午後10時から神事が執り行われ、演舞は12時から始まりました。舞われた演目は、@猿女舞、A火神舞、B十二人剣舞、C三隅舞、D四方鬼神、E水神舞、F杵舞の7つでした。
三隅舞
終わったときには午前2時を過ぎていましたから、一演目平均20分の演舞時間という計算になりますが、最近は演舞時間がずいぶん短縮されていて、本来は50分にも及ぶ演目もあるそうです。36番まである演目を本来の時間で全部踊れば、2〜3日がかりになります。
三隅舞
よんぽうきじん
四方鬼神
四方鬼神(青竜(春・木)が登場)
入来神舞(いりきかんまい)は、鎌倉時代から踊り継がれてきた神楽舞(かぐらまい)で、毎年11月23日の例祭と大晦日に奉納されています。
四方鬼神(朱雀(夏・火)が登場)
古代入来隼人の隼人舞と中世に相模国(現在の東京渋谷辺り)から当地に下向してきた渋谷氏が伝えた上世雅楽、並びにその後流入した出雲神楽などが混和されて、演劇的入来舞が生まれたと推測されています。
四方鬼神(白虎(秋・金)が登場)
演目は全部で36番まであり、それぞれ五種の神楽曲のいずれかを使って舞われます。演目を大別すると、古代以来の攘災呪術的舞(巫女舞・火の神舞・剣舞等)、稲作儀礼に関する舞(杵舞・田の神舞等)、岩戸神楽舞(天岩戸の神話劇)の3つに分けられます。
四方鬼神(白虎)
36番中の22番の『十二人剣舞』は、中央鬼神が、剣を持った白装束の12人の舞人に天照大神(あまてらすおおみかみ)の由来を説く岩戸神楽舞で、舞中に『君が代は千代に八千代に・・・』の歌が唄われます。
四方鬼神(白虎)
『十二人剣舞』の12人の舞人は、奈良時代の前後にかけて、隼人族が皇宮12門の警衛に当っていることから、衛門隼人を象徴しているものと考えられています。
四方鬼神(白虎)
白装束の女子中学生二人で舞った『猿女舞『と、同じく白装束の女子高校生四人が舞った『三隅舞』(いずれも巫女舞)は、薄明かりに清楚な舞姿が浮かび上がってきれいで優雅でした。
四方鬼神(玄武(冬・水)が登場)
また、『火神舞』は手に持った松明の灯りがきれいでした。『水神舞』は、水神様に収める紙垂を手に持っているので演目名が一目瞭然です。
四方鬼神(玄武)
演舞のクライマックスは面をかぶった東西南北の四方の鬼神が登場する『四方鬼神』だったでしょう。まず最初に登場した青色衣装の鬼神は『青竜』で、季節は春で木を象徴しています。
四方鬼神(黄)
すいじんまい
水神舞
水神舞(左上方に元旦の月が)
そして、赤色の衣装の『朱雀』は夏で火を、白色の衣装の『白虎』は秋で金を、黒色の衣装の『玄武』は冬で水を象徴しています。これらの4鬼神のほかに黄色衣装の鬼神が登場しました。
水神舞
きねまい
杵舞
杵舞
最後の演目だった『杵舞』は、稲作の豊穣を祈願する舞です。杵(きね)を持った二人の舞人が田起しや杵つきなど稲作の所作をして踊ります。
杵舞
途中から小学生が扮する田の神が加わり、三人での踊りとなります。田の神は変わった形相のユーモラスな面をかぶっていて、舞中に”でんぐり返り”の所作があります。
杵舞(田の神が登場)
田の神のユーモラスな面とでんぐり返りは、薩摩地方の他の神舞(例えば、鹿児島県伊佐市湯之尾の神舞)と似ています。入来神舞は、田の神がザルに入れた落花生や駄菓子を見物客に投げて振る舞い終了となりました。
杵舞
入来神舞の出演者そして関係者の方々、ありがとうございました。青少年が減る一方の中で伝統芸能の継承は難しいところがありますが、いつまも継承されて欲しいと思います。
杵舞(田の神が落花生やお菓子を投げて振る舞い、神舞は終了となりました)
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