コラム  ・”雄牛の血”という名のワイン   
− ”雄牛の血”という名のワイン −
『サングレ・デ・トロ』(Sangre De Toro)という赤ワインをお土産に頂きました。キャップシールにブル(雄牛、牡牛)のフィギュアが付いています。調べてみるとスペインのトレース(Torres)というワイナーのワインです。
 
トーレスは、スペインはフランスとの国境に近いカタルーニャ州バルセロナの近郊でワイン造りをスタートし、 300年以上に渡る家族経営を続けてきたスペインの名門中の名門のワイナリーだそうです。
 
そのトーレスを象徴するワインが『サングレ・デ・トロ』シリーズで、英国の雑誌『ドリンクスインターナショナル』が選ぶ『世界で最も賞賛されるワインブランド』No.1 に2014年、2015年、2017年連続で選出されているそうですから、頂くのが楽しみです。
 
ところで、『サングレ・デ・トロ』の意味を調べてみると、Toro(雄牛、牡牛)のSangre(血)ということですから『雄牛の血』ということになります。古代ローマ神話の酒神バッカスに由来する牛がトーレスのシンボルということで、キャップシールにブルのフィギュアがついているわけです。
 
『雄牛の血』についてネット検索していて、もう一つの『雄牛の血』のワインがあることを知りました。ハンガリーの『ビカヴェール』(Bikaver) という赤ワイです。『雄牛の血』あるいは『牡牛の血』で検索すれば、むしろこちらのワインの方が多く検索されます。
 
首都ブダペストから列車で約2時間のところにある人口5万3千人余りの小さな都市エゲル(Eger)は、ハンガリーの二大ワイン産地の一つだそうです。そのエゲルを代表するワインがビカヴェールで、その名は『雄牛の血』という意味です。
 
エゲルは16世紀、ハンガリー軍がオスマントルコとの激しい戦いを繰り広げた地として知られています。最終的には白旗を上げますが、他の町が次々に陥落する中、最後まで戦ったのがエゲルでした。
 
トルコ軍に包囲されたハンガリー兵士たちが籠城の末に死を決意し、城中の赤ワインを浴びるように飲んでから最後の決戦に挑んだところ、兵士たちの口元が赤く染っているのを目にしたトルコ軍は、ハンガリーの兵士たちが『雄牛の血を飲んで戦っている』と思い込み、恐れおののいて退散したといいます。『雄牛の血』というワインの名前はこの故事に由来するそうです。面白ですね。
    
『サングレ・デ・トロ』に付いている雄牛のフィギュア
スペインのトーレス・ワイン『サングレ・デ・トロ』(写真左)
(写真右は長崎のハウステンボスからのお土産のワイン)
スペインのトーレス・ワイン『サングレ・デ・トロ』
こちらはもう一つの”雄牛の血”という名のワイン
ハンガリーのエグリ・ビカヴェール(Egri Bikaver)

2019.02.13
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