鹿児島県薩摩半島の約38km西方の東シナ海に浮かぶ、上甑島・中甑島・下甑島の主な3島と、付属するいくつかの島から成る甑島(こしきじま)列島。その上甑島の里町は、沿岸流と波の作用で海底の砂れきが海面上に現れて島と島をつないだトンボロ(陸繋砂洲)と呼ばれる陸地の上に集落が形成されています。
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この里町で平成8年からはじまった、甑島の豊かな自然・風土を素材とした作品及び甑島の海や島や暮らしをイメージする作品を募集する芸術コンテスト「トンボロ芸術村コンテスト」は、今年(2023年)で28回目を迎えました。このコンテストに応募した俳句が、俳句部門の大賞を頂きました。
トンボロに向きたる磁針鳥渡る 下土橋 渡
『季語は鳥渡る。季節は秋。俳句では秋になって、日本へ渡って来る鳥、鶴や鴨や鶫(つぐみ)や鶸(ひわ)などの、群れて渡ってくる鳥を渡り鳥として句を作る。ところで、地図もないのに渡り鳥たちは、間違いなく目的地へ到達する。
渡り鳥は磁場の方向を測るのに用いる磁針を備えているという。間違いなくトンボロへ渡ってくるのだ。ところで、トンボロを故郷とする人達にも、磁針があるのかもしれません。
決して、故郷を忘れることはないのだろうと言うような、俳句の裏にある作者の思いを感じ取れます。作者もまた故郷があり、故郷を思いながら暮らしている一人なのでしょう。』(以上、審査員・園田千秋先生の寸評)
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賞品として、甑島の宿泊設備の宿泊券(1泊2食付)と、甑島のパッションフルーツ加工品セット引換券(約 8,000円相当分)を頂きました。里町の西の浜海岸通りに御影石の句碑を設置して頂けるそうです。それができた頃、連れ合いと甑島を訪ねるのを楽しみにしています。宿泊券はそのとき使います。
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