コラム | ・なすびの花と親の意見 |
− なすびの花と親の意見 −
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茄子(なすび、なす)の花が咲き始めました。『茄子の実は晩夏から初秋にかけての重要な蔬菜。盛夏のころ茎の上方にたくさんの小枝を分かち、葉腋(はえき=葉のつけ根)に先端が五裂した淡紫色の合弁花を下向きに開く』と俳句歳時記(角川書店)にあります。 茄子の原産地はインドの東部が有力。ビルマを経由して中国へ渡ったと考えられており、日本でも1000年以上に渡り栽培されているそうです。平城京の長屋王邸宅跡から出土した木簡に『進物 加須津毛瓜 加須津韓奈須比』との記述があり、高位の者への進物にナスの粕漬けが使われていたことが判明しました。 また、正倉院文書には「天平六年( 734年)茄子十一斛、直一貫三百五十六文」をはじめとして多数の「茄子」の記述がみられそうです。これらのことから、日本では奈良時代すでに茄子の栽培が行われていたことがわかります。 実の味から「中酸実」(なかすみ)が語源とされ、夏に実がなるので「夏実」(なつみ)と読みましたが、それが訛って「なすび」(奈須比)と呼ばれたとする説もあるそうです。以上『ナス - Wikipedia』を参考。 さて、茄子の花は、低く咲く小さくて地味な花ですが、よく見れば薄紫の花が凛としていて可愛いです。そして、茄子の花が千に一つも無駄なく実をつけることから、『親の意見と茄子の花は千に一つも仇(あだ)はない』ということわざが生まれました。仇とは咲いても実を結ばない花、すなわち仇花(あだばな)のことです。 親が子どもにする意見は一つとして無駄がなく、すべて役に立つことばかりだから、心して聞くべし。現代こそ肝に銘じるべきことわざではあります。茄子の花は夏の季語です。 君はただそこにいるのか茄子の花 岡本敬三 うたたねの泪大事に茄子の花 飯島晴子 一つ身に仏と鬼と花茄子 柴田由乃
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2018.06.06 | ||||
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