コラム  ・柏の枯れ葉とかしわ餅   
− 柏の枯れ葉とかしわ餅 −
市(いち)で枯れ葉の付いた木を売っていて、それを買って背負っている人を見かけます。これは、焚きものにする木ではなく、『クヌギの苗木』です。クヌギは落葉樹なので冬になると葉が枯れますが、落葉しないで枝についたままです。これは落葉するために葉の付け根のところにできる離層の形成が不完全なためです。
 
クヌギの苗木を葉が枯れないうちに移植すると葉からの蒸散が起きて樹木本体が枯れてしまうので、葉が完全に枯れてから苗木として売られているわけです。なお、クヌギの枯れ葉は、カブトムシやクワガタの隠れ家として利用されています。
 
柏(カシワ)もクヌギと同じブナ科コナラ属の落葉樹であり、クヌギと同様、冬になって葉が枯れても、褐色の枯葉をつけたままでいます。このことを言う言葉として、『柏の枯れ葉』という言葉があります。
 
柏は、秋に枯れた葉が春までついたまま、新芽が出るまでは落葉しないので『代が途切れない』縁起物とされ、その葉で餅を包むようになりました。こうして、端午の節句に食べる『かしわ餅』が生まれました。
 
なお、柏の木がすくない西日本では、柏の葉のかわりにサルトリイバラの葉で餅を包みます。鹿児島の方言では『かからん団子』といい、アミュプラザ鹿児島や鹿児島空港売店などで売られています。
 
また、『葉守の神』(はもりのかみ)という言葉があります。厳しい冬の北風の中で、柏の枯れ葉はカサカサとお互いが擦れ合う音を出しながら木を守ります。柏には樹木を守る神が宿るという意味の言葉です。 
    
クヌギの苗木(川辺二日市にて2019.02.02撮影)
クヌギの苗木を背負った人(川辺二日市にて2019.02.02撮影)
かしわ餅
『かからん団子』(ウキペディアより借用)

2019.02.06
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