レポート  ・法然院   
 
− 法然院 −
2013年11月の最後の週末、京都を散策する機会を得ました。紅葉の盛りがピークで、東山界隈の紅葉はどこも、度肝を抜かれるぐらい鮮やかで凄かったです。
 
そんな中で、若王子神社と銀閣寺を結ぶ、約2kmの疎水べりの道『哲学の道』を半分ぐらい歩き左手に少し登ったところにある法然院の紅葉は、その寺の佇まいに似て穏やかでした。
 
浄土宗系の単立寺院で、寺の起こりは、鎌倉時代の初め、法然上人が弟子たちとともに、阿弥陀仏を昼夜に六回拝む六時礼讃を勤めた草庵に由来するといわれ、茅葺で数奇屋造りの山門が、今なお鄙びた草庵の趣きを醸し出しています。
 
山門をくぐると目に飛び込んでくる、参道両側の盛り砂、白砂壇(びゃくさだん)は水を表しており、その間を通ることは心身を清めて浄域に入ることを意味しているといわれます。その砂壇上に描かれる波紋様は、4〜5日おきに季節に合わせ、描きかえられるそうです。
 
また、参道に散る椿が名景として知られており、境内には、文学者・谷崎潤一郎夫婦、日本画家・福田平八郎、経済学者・河上肇、哲学者・九鬼周造など多くの学者や文人の墓があります。
 
法然院の現貫主(31世)の梶田 真章(かじた しんしょう、1956年〜)さんは、寺を芸術家の発表の場やシンポジウムの会場として積極的に開放するなど、現代における寺の可能性を追求していることで知られています。法然院のホームページを開いてみると、連日いろいろな催し物やイベントが開催されているようです。
 
梶田さんは、法然院にご縁のある方々の集いを総称して『法然院サンガ』と呼んでおられるそうです。サンガは、サンスクリット語で共同体を意味する言葉で、漢字では僧伽(そうぎゃ)と書き、これを略したのが僧だそうです。
 
したがって、元々の僧は、出家者個人を表わす言葉ではなく、佛教を信ずる人々の集団を意味しているのだと。寺は開かれた共同体でなければという思いで、寺をコンサート、個展、シンポジウムなどの会場として提供されたり、環境学習活動などを主宰されたりしておられます。
 
また、法然院では、東日本大震災に関して、一切衆生の成佛を祈り、被災者に心を寄せ、被災地の復興にかかわる決意を表す1週間を『悲願会』(ひがんえ)と称して、法要、コンサート、慈悲市(バザー)、美術作品の展示、茶会などを執り行なう取り組みが行われています。集まったお金は現地で被災者支援をされている団体に寄付されているそうです。
 
第一回は、大震災の年(2011年)の5月1日〜7日に行われ、法然院を訪ねた11月の週末は、ちょうど第6回の悲願会(2013年11月27日〜12月1日)が開催中でした。今回は、紅葉目当ての法然院訪問でしたが、次回は緑陰の頃に訪ねて、イベントなどの一端にも触れてみたいと思っています。
 
下記のページが参考になります。
 ■ 旅行記 ・法然院 − 京都の紅葉(1) − 京都市
 
【参考サイト】
[1] 法然院 公式ホームページ → http://www.honen-in.jp/
[2] 法然院 - Wikipedia
[3] 梶田真章 - Wikipedia

  2013.12.04
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