コラム  ・あくまきと母の文   
 
あくまきと母の文
昨年(2019年)の4月に入会した俳句誌『火の島』の今年の『火の島俳句大会』(第12回)は自粛ムードで紙上句会となりました。昨年は惜しくも入賞なりませんでしたが、今年(参加者92名、投句数 184句)は第5席に入賞できました。
 
 〔互選成績〕(2句投句・8句選)
 
 第1席(21点)
  眠る子の指の緩みにつくしんぼ 外園千鶴
 
 第2席(18点)
  陽炎や地球をざぶと洗ひたし  山下裕子
 
 第3席(17点)
  火の島の空を広げて燕来る   板坂良子
  春愁や無心に磨く流し台    川野順子

 第5席(16点)
  あくまきや釘字で届く母の文  下土橋渡(ワシモ)
  姉妹みな昭和ひとけた花むしろ 下西晴美
 
『あくまき』は、鹿児島のちまきで、木や竹を燃やした灰からとった灰汁(あく)に浸したもち米を、孟宗竹の皮で包んで、灰汁水で数時間煮込んで作る鹿児島伝統の餅です。
 
秀吉の朝鮮の役や関ヶ原の合戦などに保存食として携帯されたともいわれています。兵糧食であったものが、一般家庭でも食べられるようになり、五月の節句の行事には、欠かせないものとなりました。
 
灰汁には多くのミネラルが含まれていて、からだに優しいアルカリ食品ですが、色はべっこう色で、温泉卵のような独特の香りがあり、味が有るような無いような、初めて食べる人には少々不思議な食感のある食べ物です。
 
  端午の節句と「あくまき」
    → https://washimo-web.jp/Tango/chimaki.htm
 
団塊の世代が子供時代のお母さんたちはどこの家でもあくまき作りの名人でした。子供たちは竹の皮取りに行きました。最近地元では物産館などで一年中商品として売られいます。
 
間借りの大学時代、あくまきなどと一緒に母の手紙が届きます。拙い字ながら改まった丁寧な言葉使いにそれまで知らなかった母の一面に気づいたりでした。その母も亡くなってもう十数年になります。
 
 
  2020.06.07
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