書籍紹介  ・最近読んだ本/お薦(すす)めの一冊(1)   



【今読んでいる本・book

『司馬遼太郎が考えたこと』

司馬遼太郎著新潮社発行/第1巻2001年9月発行/定価\1,800(第1巻)


司馬遼太郎氏が雑誌・新聞などへ寄稿した短文を1953年10月のものから年代を追って紙収録した随筆集。全15巻の発行が予定されています。現在、第三巻(1964.10〜1968.8)を読んでいるところ。歴史と文明、つまり人間についてあらゆる面から思考したその肉声が聞こえてくるようです(2002.10)



【お薦めの一冊・book】

(C)新潮社
『たそがれ清兵衛』

藤沢周平・著新潮社発行/平成3年3月25日発行/定価\440(文庫本)


ワシモ(WaShimo)が、藤沢周平作品に最初に触れた一冊です。「うらなり」、「ごますり」、「ど忘れ」、「だんまり」、「がが泣き」といった風体性格の持ち主たち。ふだん侮(あなど)られがちな、見た目にさえない侍たちが、ここ一番にまことの格好良さ、真価を発揮する。個性あふれる面々が読者を楽しませてくれる、痛快で情味あふれる異色作、表題ほか全八編。表題の『たそがれ清兵衛』が、今年(2002年)山田洋次監督で映画化。11月2日、全国松竹・東急系にて公開。(2002.12)


【お薦めの一冊・book】


(C)WaShimo
男たちへ』フツウの男をフツウでない男にするための54章

塩野七生・著/文藝春秋社/1993年2月10日発行/定価\500(文春文庫)


女には何をおくるか、ステキな男、嘘の効用について、男の色気について、浮気弁護論、インテリ男はなぜセクシーでないか、不幸な男、セクシーでない男についての考察、男が上手に年をとるためには、成功する男について、あなたはパトロンになれますか?、腹が出てきてはもうおしまいか等々、塩野七生が男たちに贈る華麗で、ユーモアと毒にみちた54章の「男性改造講座」。若者から老人まで男性必読のバイブル。(2002.11)


【お薦めの一冊・book】

『橋の上の霜』

平岩弓枝・著/新潮社/1987年9月25日発行/定価\560(新潮文庫)


大田直次郎は謹厳実直な幕府の小役人ながら江戸随一の狂歌師(四方赤良、のちの大田蜀山人)というもう一つの顔を持つ。恋多いがゆえに、苦悩・修羅の日々は続く。江戸の文人たちや下級武士の生活ぶりを描く長編時代小説。『世の中は われより先に用のある 人のあしあと橋の上の霜』 人の世の苦労も、ほろ苦さも自分一人と思っていたが、世の中には自分以上の人がいるんだ。そう思うことで気が軽くなったわけではないが、それでも歩かなければならなかった。



【お薦めの一冊・book】


(C)WaShimo
『蝉しぐれ』

藤沢周平・著/文藝春秋社発行/1991年7月10日第1刷/定価\540(文春文庫)


朝、組屋敷の裏を流れる小川で蛇にかまれた隣家の娘をすくう場面からはじまる、藤沢周平の最高傑作の呼び声が高い青春時代長編小説。舞台は、藤沢読者にはなじみの深い「海坂(うなさか)藩」。淡い恋、友情、悲運、忍耐。「海坂」藩の少年藩士が成長していく姿を、詩情豊かに描く。どのページをめくっても、作者の明度の高い描写が冴(さ)え、長編でありながら、短編であるかのように、物語は小気味よく展開する。美しく、懐かしい日本の原風景が随所に描かれていて、日本を感じずにはおれない。この本と出会えたことのうれしさを実感する一冊。読み始めたら、読み終わるまで眠れません。(これ以上は、あえて述べないでおきましょう。是非、足を踏み入れ、藤沢文学を味わってもらいたいです。)


【お薦めの一冊・book】

『霜の朝』

藤沢周平・著/新潮社発行/1997年2月25日発行/定価\476(新潮文庫)


紀ノ国屋文左衛門と財と粋(すい)を競い合った奈良屋茂左衛門は、ある霜の朝、子飼いの宗助から、宝永通宝の廃止によって文左衛門が没落するという知らせを受ける。ひと時代のひと盛りが過ぎようとしている。自分の盛りもそう長くはないと思う茂左衛門の胸を一陣の風は吹き抜ける。金や寵愛(ちょうあい)に目もくれず、ひたむきに生きようとする宗助とお里の生き方と対比させなかがら、奈良屋茂左衛門の盛衰とその時々の心の動きを円熟した筆で描く短編時代小説。表題ほか全十一編。


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