梅雨の季節になりました。紫陽花。この花ほど雨が似合う花が他にあるでしょうか。もし、終日雨にさらされたら、初夏といってもからだの芯まで冷え切ってしまうでしょう。でも、紫陽花はまるでそれを宿命だとでもいうように、逆らいもせず、清楚（せいそ）な姿でただ清々（すがすが）しく雨の中に佇（たたず）んで咲いているのみです。花の色が、妖艶（ようえん）に変化することから、「移り気」などの花言葉をもらっていますが、実は土の酸性度に合わせて花の色を変えているのです。自分に与えられた全ての条件・環境を有りのままに受け入れて適合していく。そんな紫陽花は、本当は謙虚で辛抱強い花に違いありません。長雨は、うっとうしくもあり、水害などが気になるかも知れません。それでも、草花や木々や農作物にとっては恵みの雨です。無災害と植物や農作物の成長を祈りながら、しばし梅雨の風情を楽しんでみてはいかがでしょうか。どうせ、あの灼熱（しゃくねつ）の夏の季節はそう遠くない日に間違いなくやって来るのですから。(2002年5月26日)