旅行記  ・三川内焼のはまぜん祭りに立ち寄って   

【1回目の訪問】
 2002年の5月、ゴールデンウィークを利用して一泊二日で長崎県の波佐見の陶器市に出かけました。初日は雨で、仮設テントでの焼物物色だったので、早めに切り上げて、佐世保市内の宿に向かうことにしました。佐世保に行く途中に「三川内(みかわち)」というところが有るのを雑誌で知っていたのでちょっとのつもりで立ち寄ってみました。「はまぜん祭り」という祭りのノボリがあちこちに立っていました。生憎の雨のせいもあってか、波佐見や有田で見て知っている程の人出はありませんでしたが、それぞれの窯元を訪ねて見て、内容のすばらしさにびっくりでした。量産品の陶器とは質の違う陶器のようです。光雲窯の山水の壷を購入しました。毎年10月10日前後には陶器市があるそうです。また訪問して今度はゆっくり見たいと思っています。宿は、佐世保市内の「弓張の丘ホテル」に取りました。二日目は、絶好の五月晴れで、波佐見の陶器市会場で一日を過ごしました。 (旅した日 2002年5月)
【2回目の訪問】          
 1年後の2003年5月の連休が2回目の訪問でした。1回目の訪問の時とはうって変わって、天気の良い日で汗をかくぐらいの陽気で、人出も多いでした。1回目の訪問で、おおよそのことが分かっていたので、2回目の訪問では数軒の窯元に的を絞って訪問することにしました。平戸松山窯で、創作唐子の洋皿セットと平戸祥瑞のコーヒー碗皿を購入しました。 (旅した日 2003年5月)


三川内焼と「はまぜん」祭り

 豊臣秀吉の朝鮮の役で二十六代平戸藩主・松浦鎮信公が慶長三年(1598年)に朝鮮より連れ帰った陶工の一人が平戸に窯を開いたのが三川内焼の始まりです。良い陶石に恵まれなかったため、平戸領内を陶石探索の旅に出て最後に落ちついた所が三川内でした。三川内の代表的な絵柄である「唐子(からこ)絵」は、江戸時代、平戸藩御用窯の指定図柄で、「献上唐子」といわれ、朝廷や将軍家への献上品、諸大名への贈り物に使用されていました。御用窯の技術は今に受け継がれ、佐世保市唯一の国の伝統的工芸品に指定されています。現在、40弱の窯元が400年の伝統に、現代的な感覚を加味した陶器づくりに取り組んでいます。

 「はまぜん」とは焼き物を焼くとき起きる歪みを防ぐために焼き物の下に敷かれる皿のことで、一回しか使えないものです。これの供養のために行われるのが「はまぜん祭り」です。毎年5月に川内皿山窯元で行われる陶器市で、一般の人が気軽に窯元を訪れることができます。オークションなどのイベントも開催されます。




訪れた窯元とその作品の紹介


平戸松山窯
・第十五代
平戸藩主松浦公の御庭焼絵方として迎えられ、代々御用窯元として唐子絵の伝統を守り今日に至っている窯元です。佐世保市無形文化財に認定。絵柄には、唐子絵の他に祥瑞文様、唐草文様等があります。
   
   
■平戸祥瑞のコーヒー碗皿(上の写真の下段・左のもの)を購入しました。
長崎県佐世保市三川内町901 TEL 0956(30)8657、 FAX 0956(30)7734


平戸松山窯・中里月度務

第十五代平戸松山窯・中里勝歳さん(59)の長男、月度務さん(33)の作品。佐賀県立有田窯業大学校を卒業後東京で修行。後を継ぐため十年前に帰郷。
     
   

光雲窯

伝統を守りながら、新しいチャレンジも忘れない今村 隆光さんの光雲窯。山水絵柄などの他、鯨をモチーフにした作品が光雲窯ブランドになっています。
   
   
■1回目の訪問のとき、山水の壷(上の写真の下段・右のもの)を購入しました。
長崎県佐世保市三川内町8281 TEL&FAX 0956(30)7232、公式のホームページがあります。→ http://www1.cncm.ne.jp/~k-oosaki/

平戸 嘉久正窯


平戸藩御用窯の創立に力をなした由緒ある窯元で、三川内焼の最も代表的な伝統技法の一つである手描の染付け(青華)技法を継承して、上物作りが続けられています。

   
   
長崎県佐世保市三川内町689番地 TEL0956(30)8765、FAX0956(30)8765


【備考】本ページは、各窯元さんのご承諾を得て公開しています。今回、2回目の訪問でお伺いし写真撮影のお許しを頂いた窯元さんの作品を紹介させて頂きました。三川内には、上記の地図に示すように他にたくさんの窯元があり、素晴らしい陶器を生産されています。機会があったらまたお伺いし、紹介させて頂ければ嬉しいです。