♪御伽草子
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旅行記 ・田の神戻し − 鹿児島県薩摩川内市藺牟田  2009.04.10
 田の神戻し
女装して神様の分身となった集落の青年たち7〜8人が、レンゲ田に
運ばれた田の神さあの回りをまわりながら、ユーモラスな踊りを奉納します(写真上)。
田の神さあ
『田の神』は、その名の示す通り田んぼを守り、米作りの豊作をもたらす農業神です。稲作のある日本全国の各地で信仰され伝承されていますが、鹿児島県を中心とした旧薩摩藩領(鹿児島県本土および宮崎県南部)では、田の神が石像として田んぼのあぜなどに置かれていて、『田の神さあ』(タノカンサア)と呼ばれています。現在、約2000体の田の神が確認されているといわれます。
田の神戻し
鹿児島県薩摩川内市藺牟田麓地区に伝わる『田の神戻し』(タノカンモドシ)の田の神さあは、新婚家庭もしくはそれに近い家庭によって持ち回りで1年間預けられる田の神さあです。『田の神戻し』は1年間預かった田の神さあに絵の具で化粧をほどこし、つぎの家庭に『引っ越し』させる行事で、江戸時代末から伝わっているといわれます。ヤマブキ、山桜、菜の花、ツツジなどで飾った花かごで運ぶのが慣わしです。
『田の神戻し』の日、絵の具で新しく化粧をほどこされ、ヤマブキ、
山桜、菜の花、ツツジなどできれい飾られた花かごにおさまった田の神さあ(写真上)。
午前中、集落の男性たちによって花かごの飾りつけです。わらツトには、餅に炊いた
小豆を混ぜた『タノカン餅』が入れられています。竹筒に焼酎を入れると重さは80kgを越えます。
『田の神戻し』は、五穀豊穣、無病息災、子孫繁栄を願う農村の祭りです。
正午になると花かごの飾りつけも終わり、田の神さあは床の間に上げられ、一年を過ごした家庭での最後の昼餉(ひるげ)です。
午後1時、宴席が終ると、神様の分身となって
踊りを奉納する集落の青年たちは身支度に取りかかります。
真剣な眼差しで・・・
ヘグロ(灰黒、すす)を塗りつけてお化粧です。
愛妻の手によって仕上がっていきます。
こちらは、完璧に仕上がりました!
この頃になると、田の神さあも庭に下ろされ、
出発の準備です。
ヘグロで化粧し女装した姿は神の分身。神の分身たちは
手に持ったヘグロの刷毛で、見物客の顔へヘグロを塗りつけて回ります。
赤ちゃんもヘグロを塗られて・・・。騒がしいやら怖いやら、今にも泣き出しそうです。
ヘグロを塗りつけられると、その一年、無病息災の願いが叶います。
移動は軽トラックに乗って。今年は、藺牟田池(写真下)の
湖畔と湖畔にあるホテル、老人ホームでも踊りが披露されました。
花かごに田の神揺られ村の春   ワシモ
そしてれんげ田へ。『田んぼへ戻される』ということでしょう。
ここで踊りが奉納され、田の神さあは、新しく一年間の宿となる家へ引越ししていきます。
 レポート  ・田の神さあ
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