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旅行記 ・濱崎太平次ゆかりの地を訪ねて − 鹿児島県指宿市  2013.09
はまさきたへいじ
濱崎太平次
民間有志によて建てられた第八代濱崎太平次像
濱崎太平次ゆかりの場所を訪ねて
風雲急を告げる幕末、一葉の船に身を託して雄々しく海洋に乗り出し、貿易・運送・造船の大事業を成し遂げ、紀州の紀伊国屋文左衛門、加賀百万石の銭屋五兵衛とともに、江戸時代の『実業界の三傑』と呼ばれた薩摩の豪商がいました。指宿が生んだヤマキ(濱崎家の屋号)の第八代濱崎太平次(1814〜1863年)です。調所広郷(ずしょひろさと)が行った薩摩藩財政再建に身を賭して貢献し、その資金が明治維新の原動力となって新しい日本の夜明けを迎えることになりますが、50歳のとき大阪で客死。その死後、時勢の激変に加え、後継者がいなかったため濱崎家は凋落。一時代盛大を極めた濱崎太平次でしたが、今日では鹿児島でも知る人ぞ知る的歴史上の人物になっています。わずかに残る濱崎太平次ゆかりの場所を訪ねました。
像はかつてヤマキが賑わった指宿港に建っています。
第八代濱崎太平次像 わが指宿が生んだ濱崎太平次正房翁はこの湊の地に1814年(文化11年)生まれ、1863年(文久3年)大阪にて客死する。十四才で沖縄に渡り『海の男』を志し、長ずるにおよび幕末における日本第一流の海運業者となり、海外貿易の先駈けをなし、遂に全国屈指の大富豪になった。地元においては三十数隻もの大型船を建造するなど、地域振興に大いに寄与した。また、翁は薩摩藩の財政建直しに身を賭して貢献し、その資金が明治維新の原動力となって新しい日本の夜明けを迎えることができたのである。翁は常に時代の裏方に徹しながらも人材育成をすすめ、薩摩藩欧州留学生の派遣などに私心を捨てて尽力した、太平次翁がいかに秀れた功労者であったかは、翁の死に直前に、時の考明天皇が侍医を派遣したことからも知ることができる。ここに太平次翁の銅像を建立して郷土の偉大な先達の業績を顕彰し、後世に伝えるものである。平成九年七月吉日 銅像建立実行委員会会長 田原迫 要
稲荷神社
五代目濱崎太左衛門が創建した稲荷神社
第五代と稲荷神社 海運業をさらに発展させた濱崎家五代目太左衛門は、日本の長者 263人中の一人に入った人で、時の薩摩藩藩主・第九代島津斉宣(なりのぶ)公が保養のため指宿村の長井温泉を訪れると、自宅内に『御座間』という貴賓室を建てて島津氏の別荘としました。太左衛門は大変信心深い人で、十二町湊地区にある稲荷神社の創建も太左衛門が行ったと伝えられています。現在、稲荷神社の境内には、第八代太平次の功績を称える頌徳(しょうとく)碑が建てられています。
昭和7年(1932年)に建立された濱崎太平次頌徳(しょうとく)
濱崎太平次の墓
湊児童公園にある第八代濱崎太平次の墓
第八代濱崎太平次の墓 濱崎家の墓は湊南墓地にありましたが、市営小田公苑墓地の開設に伴い、昭和30年(1955年)湊南墓地は廃止されました。M崎家の墓も小田公苑墓地へ移設されましたが、第八代太平次の墓だけは、彼の業績をたたえ、元の位置に近い湊児童公園の北隅に移設保存されました。第八代太平次に関する資料は非常に少なく、この墓は濱崎太平次の業績を今に残す貴重な文化財の一つです。
生誕の地
かつて御本陣馬場と呼ばれた太平次屋敷前の通り
濱崎家屋敷跡 東西約45m、南北約54mで、面積は約2430m2あったといわれる濱崎家の屋敷跡。屋敷内には薩摩藩主が湯治に訪れた際に宿泊した『御座間』と呼ばれる貴賓室がありました。第六代太平次の頃になると、時の藩主(斉興、斉彬、久光、忠義)の行き来が頻繁で、屋敷前の道は『御本陣馬場』と呼ばれました。
NTT指宿営業所南東側角に建つ生誕の地記念碑
御本陣馬場では、死人の棺(ひつぎ)が通ったり、青年などが放歌したりすることが禁じられていたといわれます。屋敷のあった辺りには第六代が私財を投じて整備したといわれる町割が残っています。碁盤の目のように区画整理され、当時の生活道と思われる細い路地なども残っていて、濱崎家の財力の大きさが伺い知れます(写真下)。
第六代が整備したといわれる町割
がたぐちのふなだまり
潟口の船溜り
潟口の船溜り
潟口の船溜と水路跡 指宿港の北側約1Kmのところにある二反田川の河口、通称『潟口』には船溜りが築造され、現在もその一部が残っています。薩摩藩第10代藩主島津斉興(なりおき)公によって造られた船溜まりで、船の積荷が下ろされ、小舟に積みかえられたといわれています(写真上)。かつて潟口の船溜まりから太平次の屋敷裏まで延びる水路があり、小舟が荷物を積み行き来していました。写真下はその水路跡です。
船溜まりと濱崎家屋敷裏間を小舟が行き来した水路跡
 殿様湯跡と湯権現
      
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