機械技術者の自己啓発支援講座(第27回)
機械技術者のための
 
工業力学入門
 □ 機械振動の基礎(振動と共振)
機械技術者が日常の業務を進める上で必要となる力学の具体的で実践的な活用方法の習得を目指します。
機械振動は、その理論および 実際ともに静力学に比べて難しいところがありますが、このマガジンでは、機械技術者が常識として理解しておく べき基礎的事項について述べて行きます。具体的には、「振動と共振」、「振動 と共振についての理解度確認テスト」、「固有振動数を計算する式」、「固有振動数と危険回転数の 計算演習」を行ないます。
 

第9章  機械振動の基礎
 
9.1 振動
 
一定の時間間隔をおいて、同一の状態または特定の状態を繰り返す運動を振動(vibration)という。
 
〔1〕 自由振動
 復元力が変位に比例して働く場合の周期運動で、一度振動を起こさせると以後は復元力(弾性力)だけ で振動を継続し、空気抵抗や摩擦抵抗などの減衰力が働かない理想状態で、当初の振幅を無限に持ち続けるような振動の ことを自由振動(free vibration)という。固有振動あ るいは自然振動などともいう。
 
自由振動における振動数は、振動する物体自身の物理的性質(下図では質量mとバネ定数k )だけによって決まる特有な値であって、それ以外のものには無関係であることから、これを固 有振動数(natural frequency)という。
 
バネ定数(spring constant)k(N/m)のバネの一端に、質量m(kg)の物体が 連結されている場合の物体の運動方程式は、物体と床間の摩擦抵抗や空気抵抗などを無視できるものとして


 
(1)′式の微分方程式を解くと、物体の位置xを与える式として次式が得られる。  
 
            x=asin(pt+α) ……… (2)
 

 
〔2〕減衰振動
 自由振動において、摩擦抵抗や空気抵抗などの外部抵抗あるいは振動体自体の内部抵抗等のため< FONT color="#0000cc">振動エネルギが消失し、振動振幅が次第に減少して、ついに停止するに至るような振動 を減衰振動(damped vibration)という。

 
       
 
 
3〕強制振動

 外部から周期的な加振力(励振力、起振力などともいう)の作用を受けて 継続する振動のことを強制振動(forced vibration)という。加振力の形態には、力、変位、 速度がある
 
   
 
上図のように天井からバネ定数kのバネで吊された質量mの物体に Psinωtの外力(加振力)が働く強制振動を考えるとその運動方程式は、上の(3)式あるいは(3)′式で表される。 
 
9.2 共振

上図に示す強制振動の運動方程式(3)′式を解くと、その一般解は次の(4)式で示される。


 
  上の(4)式の中で、ωは、外力(加振力)の角振動数(rad/sec)であり、pは振動体の固有振動数(rad/sec) である。(4)式において、外力(加振力)の角振動数ωが振動体の固有振動数pと一致すると、 ω=pであり、式の分母が0になり、xの値(振動振幅)は無限大になる。ω=pとなると、 振動体の振動振幅が無限大になり、危険な状態になる。この現象を共振(resonance)という。 共振を起こす回転数を危険回転数(whirling speed、critical speed)あるいは 危険速度という。

  
あなたは累計 人目の訪問者です。
 
Copyright(C) WaShimo All Rights Re